あくことなき支那の領土欲。それを当然のように正当化しょうとする。
全く反吐が出る。
南シナ海領有権問題を牽制:フィリピンに米海兵隊拠点
フィリピンはかつて領土を中国に奪われた過去があります。1991年、スービック海軍基地とクラーク空軍基地が返還され、米軍はフィリピンから撤退しました。これにより、フィリピンは中国の領土的野心に対抗するハード・パワーを失いました。
そして1995 年、フィリピンが領有権を主張していたミスチーフ礁(中国名:美済礁)に中国は建造物を構築します。フィリピン政府は中国大使館に抗議しますが、中国側は地方政府が独自に建築した漁民の避難施設であるとし、フィリピン側の抗議にまったく取り合おうとはしませんでした。米軍が撤退したフィリピンには日本の海上保安庁のような強力な沿岸警備隊もなく、もちろん海上自衛隊のような能力をもつ組織はありませんでしたから、中国の行動を抑止することも対処する実力もなかったのです。中国は現在もミスチーフ礁において施設を拡充して軍隊を駐留させ、占領を続けています。
ご承知の通り、中国は現在も南シナ海で東南アジア諸国と領有権問題で揉めています。フィリピンとは今年4月から南シナ海のスカボロー礁の領有権をめぐって、中国と小競り合いを続けていましたね。スカボロー礁はフィリピンが実効支配している珊瑚礁で、フィリピンのルソン島から230km、中国の海南島から約1,200kmのところにあります。最近、スカボロー礁周辺に天然ガスなどの地下資源が埋蔵されている事実が明らかになったことが両国の争いに火をつけました。台風の影響でいったんは双方共船を引き揚げたり、休漁期間を設けることで衝突を回避しようという外交努力も試みられてきてはいますが、根本的に歩み寄ることはないでしょうから、今後も何かにつけて火種となることは間違いありません。
米軍を追い出して20年を経てなお、フィリピンはまともに中国に対抗しうる海軍がありません。すると、再び中国にスカボローを奪われてしまうのでしょうか?いえいえ、フィリピンも今度は中国に領土を強奪されるのを放っておくつもりはありません。例えば同じように中国と領有権で揉めているベトナムと海軍の合同演習を実施し、南シナ海におけるバランシングを図っています。また、フィリピン海軍は米沿岸警備隊から購入したハミルトン級カッターを主力装備としていますが、1967年製という旧式艦なので、日本から「びざん型巡視船」を10隻と「しれとこ型巡視船」を2隻の供与を受けることが決まりました。アキノ大統領も「わが国の安全と主権が脅かされた時、米国と日本以上に頼りになる友はいない」と述べており、中国との領土問題において日米両国に期待するところの大きさを語っています。
アメリカとの関係も再び深いものになっています。フィリピンの憲法(1987年制定)は自国に外国軍の恒久基地を認めていないのですが、1951年に米比間で相互防衛条約が結ばれているため、アメリカとの安全保障上の結びつきは従来から強いものでした。1991年に在比米軍は撤退しましたが、その後スプラトリー諸島(南沙諸島)をめぐる中国の動きが活発化するにつれ、アメリカとフィリピンの軍事協力は再び緊密化していきます。1998年の協定では米軍兵士600人のフィリピン駐留が認められ、以降、軍事演習もたびたび実施されています。フィリピン南部のイスラム過激派鎮圧のための対テロ訓練が主ですが、災害救助活動訓練なども含まれています。
そして、マニラとワシントンの関係がさらに深化していることを示す報道がありました。
(パラワン島ブルックスポイントを中心にした地図)
上記引用記事では詳細がないので、いくつかの英文記事をまとめると、共同整備に着手するのは、パラワン島南部のブルックスポイント(Brooke’s Point)にあるサマリニアーナ(Samariniana)基地や島中部のウルガン(Ulgan)基地で、マカラスカス・タウン、タランピタト・ポイントといった天然の良港も整備候補地として名前が挙がっています。また、パラワン島だけでなくルソン島、ミンダナオ島への米軍のアクセス施設整備に関する協議も始まっています。
サマリニアーナ基地ではフィリピンの建設会社と契約するなどして、長さ1,100mの滑走路を2,400mに拡張して大型輸送機や偵察機が発着できるようすでに工事に取り掛かっています。ウルガン基地ではヘリポートを整備する計画です。いずれの基地にも米海兵隊用の現場指揮所や宿舎としてコンテナ型の建物数棟も設置される模様で、50~60名の海兵隊員がローテーション配備されるようです。
たかだか60名程度の海兵隊がいたところで戦力としては取るに足らないものですし、実際この海兵隊の主任務はフィリピン軍の能力構築や災害救助などを目的としたものだと考えられます。ただ、地図を見ても明らかなように、パラワン島は南沙諸島に面し、ここに米軍のプレゼンスを示されると中国はかなりうっとうしいでしょうね。外交的に中国が受け取るメッセージは小さなものではありません。加えて、パラワン島は米軍にとって西太平洋から南シナ海、インド洋へと抜ける要衝であり、オーストラリアのダーウィンと同じように、米軍が「スウィング」する上で実に使い勝手の良い場所だと言えます。この地に海兵隊を巡回配備することで、周辺地域の即応態勢は強化されることになるでしょう。
自衛隊もこのパラワン島の基地を使用するアイデアが上がっています。日米比、そしてベトナムやインドネシア、シンガポールといった国の間で対中国バランシング・ネットワークを築くことは高い牽制効果が期待できます。尖閣諸島問題で日本と中国が戦ったらどっちが勝つ?海自とPLANはどちらが強い?なんて単純な比較もありましたが、私はそうした議論にあまり関心がありません(軍事力の大切さは否定しませんが)。それよりも、平時の外交においても戦時の武力衝突においても仲間が多い方が有利で、いかに敵を孤立させるか、ということにリソースを傾注する方が肝心だと思っています。当たり前のことなので、改めて言うことでもないんですけどね(^_^;) そういう意味でも、同盟国であるアメリカと日本のシーレーンにも大きな地理的影響を持つフィリピンとが対中バランシングしようとしているのは心強いですし、彼らが強く結束しようというのは歓迎すべきものです。
そして1995 年、フィリピンが領有権を主張していたミスチーフ礁(中国名:美済礁)に中国は建造物を構築します。フィリピン政府は中国大使館に抗議しますが、中国側は地方政府が独自に建築した漁民の避難施設であるとし、フィリピン側の抗議にまったく取り合おうとはしませんでした。米軍が撤退したフィリピンには日本の海上保安庁のような強力な沿岸警備隊もなく、もちろん海上自衛隊のような能力をもつ組織はありませんでしたから、中国の行動を抑止することも対処する実力もなかったのです。中国は現在もミスチーフ礁において施設を拡充して軍隊を駐留させ、占領を続けています。
ご承知の通り、中国は現在も南シナ海で東南アジア諸国と領有権問題で揉めています。フィリピンとは今年4月から南シナ海のスカボロー礁の領有権をめぐって、中国と小競り合いを続けていましたね。スカボロー礁はフィリピンが実効支配している珊瑚礁で、フィリピンのルソン島から230km、中国の海南島から約1,200kmのところにあります。最近、スカボロー礁周辺に天然ガスなどの地下資源が埋蔵されている事実が明らかになったことが両国の争いに火をつけました。台風の影響でいったんは双方共船を引き揚げたり、休漁期間を設けることで衝突を回避しようという外交努力も試みられてきてはいますが、根本的に歩み寄ることはないでしょうから、今後も何かにつけて火種となることは間違いありません。
米軍を追い出して20年を経てなお、フィリピンはまともに中国に対抗しうる海軍がありません。すると、再び中国にスカボローを奪われてしまうのでしょうか?いえいえ、フィリピンも今度は中国に領土を強奪されるのを放っておくつもりはありません。例えば同じように中国と領有権で揉めているベトナムと海軍の合同演習を実施し、南シナ海におけるバランシングを図っています。また、フィリピン海軍は米沿岸警備隊から購入したハミルトン級カッターを主力装備としていますが、1967年製という旧式艦なので、日本から「びざん型巡視船」を10隻と「しれとこ型巡視船」を2隻の供与を受けることが決まりました。アキノ大統領も「わが国の安全と主権が脅かされた時、米国と日本以上に頼りになる友はいない」と述べており、中国との領土問題において日米両国に期待するところの大きさを語っています。
アメリカとの関係も再び深いものになっています。フィリピンの憲法(1987年制定)は自国に外国軍の恒久基地を認めていないのですが、1951年に米比間で相互防衛条約が結ばれているため、アメリカとの安全保障上の結びつきは従来から強いものでした。1991年に在比米軍は撤退しましたが、その後スプラトリー諸島(南沙諸島)をめぐる中国の動きが活発化するにつれ、アメリカとフィリピンの軍事協力は再び緊密化していきます。1998年の協定では米軍兵士600人のフィリピン駐留が認められ、以降、軍事演習もたびたび実施されています。フィリピン南部のイスラム過激派鎮圧のための対テロ訓練が主ですが、災害救助活動訓練なども含まれています。
そして、マニラとワシントンの関係がさらに深化していることを示す報道がありました。
南沙諸島近くに米海兵隊拠点 フィリピン軍基地整備 (共同通信)
【マニラ共同】南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島に近いフィリピン西部パラワン島の複数の同国軍基地を米海兵隊のローテーション(巡回)配備先の拠点として共同整備することに両国が合意したことが4日、分かった。9月中にも滑走路拡張などの工事に着手する。マニラの外交軍事筋が明らかにした。
フィリピンでの米海兵隊の具体的な拠点整備の概要が判明するのは初めて。海洋権益の拡大を図る中国をけん制する狙いがある。
在沖縄海兵隊の国外移転を含む再編の一環で、沖縄の海兵隊も演習名目で派遣される見通し。
(パラワン島ブルックスポイントを中心にした地図)
上記引用記事では詳細がないので、いくつかの英文記事をまとめると、共同整備に着手するのは、パラワン島南部のブルックスポイント(Brooke’s Point)にあるサマリニアーナ(Samariniana)基地や島中部のウルガン(Ulgan)基地で、マカラスカス・タウン、タランピタト・ポイントといった天然の良港も整備候補地として名前が挙がっています。また、パラワン島だけでなくルソン島、ミンダナオ島への米軍のアクセス施設整備に関する協議も始まっています。
サマリニアーナ基地ではフィリピンの建設会社と契約するなどして、長さ1,100mの滑走路を2,400mに拡張して大型輸送機や偵察機が発着できるようすでに工事に取り掛かっています。ウルガン基地ではヘリポートを整備する計画です。いずれの基地にも米海兵隊用の現場指揮所や宿舎としてコンテナ型の建物数棟も設置される模様で、50~60名の海兵隊員がローテーション配備されるようです。
たかだか60名程度の海兵隊がいたところで戦力としては取るに足らないものですし、実際この海兵隊の主任務はフィリピン軍の能力構築や災害救助などを目的としたものだと考えられます。ただ、地図を見ても明らかなように、パラワン島は南沙諸島に面し、ここに米軍のプレゼンスを示されると中国はかなりうっとうしいでしょうね。外交的に中国が受け取るメッセージは小さなものではありません。加えて、パラワン島は米軍にとって西太平洋から南シナ海、インド洋へと抜ける要衝であり、オーストラリアのダーウィンと同じように、米軍が「スウィング」する上で実に使い勝手の良い場所だと言えます。この地に海兵隊を巡回配備することで、周辺地域の即応態勢は強化されることになるでしょう。
自衛隊もこのパラワン島の基地を使用するアイデアが上がっています。日米比、そしてベトナムやインドネシア、シンガポールといった国の間で対中国バランシング・ネットワークを築くことは高い牽制効果が期待できます。尖閣諸島問題で日本と中国が戦ったらどっちが勝つ?海自とPLANはどちらが強い?なんて単純な比較もありましたが、私はそうした議論にあまり関心がありません(軍事力の大切さは否定しませんが)。それよりも、平時の外交においても戦時の武力衝突においても仲間が多い方が有利で、いかに敵を孤立させるか、ということにリソースを傾注する方が肝心だと思っています。当たり前のことなので、改めて言うことでもないんですけどね(^_^;) そういう意味でも、同盟国であるアメリカと日本のシーレーンにも大きな地理的影響を持つフィリピンとが対中バランシングしようとしているのは心強いですし、彼らが強く結束しようというのは歓迎すべきものです。