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日中戦争を回避する秘密兵器は「電子レンジ」

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こうした問題を解決できると思われるのが、マイクロウェーブ波を利用した「ADSActive Denial System)」です。俗な言い方をすれば、「電子レンジ砲」と言うべきでしょうか。
 ADSは以下の写真にあるような車載型、もしくは航空機搭載型を想定しており、95ギガヘルツのマイクロウェーブ波を照射することで、紙3枚程度の皮膚下に焼けるような痛みを発生させる装置です。つまり500メートル程度の射程の電子レンジを照射することで、火傷のような錯覚を抱かせ、暴徒やテロリストを無力化するというものです。
人道的に敵を無力化、降伏させることができる。
だから相手国の国民の反感も最小限に抑えることができる。
この兵器を島礁防衛に最大限使うべきだ。

 支那も艦船にすでに配備中。
 
 
日中戦争を回避する秘密兵器は「電子レンジ」
離島防衛を考える(第6回)
2015.5.6(水)profile部谷直亮
メディアの影響力と人命重視の流れ
 こうした変化の背景には、軍隊による政治的任務が増えたこと、テレビメディアやインターネットなどの情報通信技術が発展したこと、そして、戦争における人命尊重化があることを指摘できるでしょう。
 もはや国家間戦争はほとんど消え失せた一方で、内戦はどんどん拡大していきました。また、相互核抑止体制が冷戦によって構築され、経済的な相互依存も高まったことは、軍事的・経済的な「相互確証破壊」を国際関係において成立させました。
 このため、軍事力をかつてのように大規模かつ継続的な軍事作戦のために使用することが減り、小規模な部隊を政治目的のために使用するケースが米国等で増えていきました。
 特に近年では、トモダチ作戦のような「人道支援・災害救助活動(HA/DR)」、発展途上国へ軍事訓練を行う「能力構築支援」という形で、より小規模の部隊を自国の地域プレゼンス拡大のためという政治目的で、他国の災害対応や軍事能力強化を実施しています。これらは、小規模の軍事力で政治目的を直接的に達成するものであります。故に、必然的に戦術レベルと戦略レベルが直結したものになります。誤解を恐れずに言えば、ここに作戦レベルというものはありません。
 無論、政治的な軍事力の行使は、19世紀以前にも多く見受けられた現象です。初期の米海兵隊の任務は政治的な任務が多かったですし、災害支援も、関東大震災での米軍の活動のように古くからあったものとも言えます。
 ここで、戦術レベルと戦略レベルの直接的なつながり、作戦レベルの戦略レベルへの影響をより確実化したのが、テレビメディアやインターネットに代表される情報通信技術の発展です。
 テレビメディアは時代が進むにつれ、伝達がどんどん容易になり、リアルタイムで現地の様子が見られるようになりました。
 これを象徴する話があります。199623日、ボスニアでのNATO平和維持作戦で、地雷を拾った兵士が事故死しました。痛ましいですが、大々的にメディアに出るような話でもありません。しかし、CNNは即座に30分ごとのニュースにてトップニュースで報道し、他のメディアも追随し、新聞や雑誌は死後24時間で5万語を彼の死について費やしました。
そして、インターネットは、この即時性と容易性をさらに高めただけでなく、「世論の敏感性」をもたらしました。何より、今までは単なる受け手でしかなかった市民に対して、情報発信や意見表明を容易かつ安価に可能とさせました。これにより、戦術レベルにおける小さな出来事でも戦略レベルに大きな影響を与えやすくなったのです。
 例えば、ナイジェリアにおける“田舎の暴走族”のような存在でしかなかったボコ・ハラムは、現地の女子学生を拉致し、その様子を動画投稿サイトに投稿した結果、爆発的な国際世論の反発を買い、ネット上では著名人の抗議が相次ぎ、ついにはオバマ大統領夫人やノーベル平和賞受賞者のマララさんまでが名指しで批判し、米英政府が軍事アドバイザーを現地に派遣するまでに至りました。もし、1960年代にボコ・ハラムが存在し、同様の活動をしても誰も相手にしないでしょう。
 イスラム国も同様です。もし彼らがインターネットもなく、マスメディアもない時代に存在したとしても、資金や兵士を世界中から集めることもできずに、あっという間に駆逐されてしまったでしょう。
 そして、極めつけは最近の先進国側における人命重視の流れです。現代戦では、例えば、高名な戦略家であるエドワード・ルトワックによれば、少子化と高齢者以外の死亡がまれになったことで、今や戦闘で生じる兵士の戦死が先進国の社会では受け入れがたいものになっていると指摘します。要するに“病死が相次ぎ、そして子供が多いような社会”と、“高度な医療により老人しか死なず、子供が少ない社会”では、「戦死」に対する衝撃が大きく異なるということなのです。
 それゆえに、先進国の社会においては、死傷者に対する許容度が低下しており、その戦術レベルに過ぎない、若干の死傷者の存在が、世論に重大な出来事として衝撃を与え、ひいては戦略レベルである政治に大きな影響を与えてしまうのです。
中国でも見られる同様の傾向
 このように、現代戦においては、ちょっとしたイベント、特に死傷者が世論に大きな衝撃を与え、政策決定者に変更を迫るということが分かったと思います。そして、実は中国もこうした傾向と無縁ではないのです。そもそも、構造的に日本以上の急激な速度で少子化が進み、ある種の言論統制下ではありながらもテレビメディアが発達し、インターネット人口は、なんと6億人を超えています。
何より、重要なのは、中国の権力者はインターネット世論を重視していると言われていることです。なにせ、国民の直接的な不満を聞く場が制度的にない以上、インターネット上の動向を注目せざるをえません。
 このように、現代中国もまた、現代の戦略環境における影響を受けているのです。
 実際、2001年の米中軍用機接触事故では、たった1人のパイロットが死亡しただけで、ネット上では激越な批判が行われ、中国政府もそれを抑えるのに苦慮し、また重視したと言われていますし、2010年の尖閣諸島国有地化は、満州事変と同日であったこともあり、反日デモが過激化しました。そして、その後の中国政府は硬直化した対応にならざるをえなかったと言われています。
非致死性兵器が日中戦争を回避する
 では、こうした戦略環境下では、どうすればよいのでしょうか。さらに言うならば、離島をめぐる衝突において、エスカレーションを互いに繰り返すことを避けるには、どうすればよいのでしょうか。
 それは、過激派団体なり、武装漁民なり、海警等の職員なり、場合によっては解放軍兵士なりがたとえ攻撃してきた場合においても、日本の警察力によって、場合によっては軍事力であっても、相手を殺傷せず無力化し、キャッチ&リリースすることです。上に述べたとおり、仮に離島を巡る衝突において死傷者が出た場合、中国世論は際限なくエスカレーションすることが予測されるからです。
 そして、そのために非致死性兵器が重要です。つまり、大音響や皮膚に痛みを発生させる電磁波等を使った兵器で、これによる不法に侵入してきた勢力の無力化が必須でしょう。
 既に実用されているのもあれば、かなり開発が進んでいるものもありますので、以下でご紹介しましょう。
 最初は、海自や海保の一部でも導入されている「LRAD」(Long Range Acoustic Device)です。
LRAD Wikipediaより)
これは要するに、耐え難い指向性の大音響で相手を撃退するというもので、イラクにおける米国の使用を皮切りに、我が国ではソマリア沖の海賊対策、捕鯨船に対するシーシェパード等で有効な成果を上げているとされます。このLRADは、中国の海警の複数の艦艇にも装備が進んでいるとされ、対抗する意味でも、より多くの海保や海自への調達が望まれるところです。ただし、LRADは聴力障害をもたらす可能性があるので、使用が難しいでしょうし、威力として決定的ではない面があります。
 こうした問題を解決できると思われるのが、マイクロウェーブ波を利用した「ADSActive Denial System)」です。俗な言い方をすれば、「電子レンジ砲」と言うべきでしょうか。
 ADSは以下の写真にあるような車載型、もしくは航空機搭載型を想定しており、95ギガヘルツのマイクロウェーブ波を照射することで、紙3枚程度の皮膚下に焼けるような痛みを発生させる装置です。つまり500メートル程度の射程の電子レンジを照射することで、火傷のような錯覚を抱かせ、暴徒やテロリストを無力化するというものです。
ADS(写真:米国防総省非致死性兵器プログラム部門より引用)
 注目すべきは、辛口の防衛問題記者を含む1300人以上のボランティア被験者を、耐え難い痛みを発生させて無力化したにもかかわらず、健康被害を引き起こさなかったことです。1999年、2007年に第二度の火傷を起こした以外は相手を傷つけていないことです。その意味で、より強力に無力化でき、しかも健康被害を起こさないという観点で音響兵器よりも有効でしょう。
 ただ、ADS2010年にアフガンに短期的に配備されましたが、結局、政策担当者がタリバンのプロパガンダに利用されることを恐れ、使用されずに本国送りとなりました。その意味では、まだまだ実戦での使用は難しい面があるかもしれません。
 がADSは、大使館警備に責任を持つ海兵隊、特に前総司令官のエイモス大将が特に熱心な推進者だったこともあり、現在もテストが継続しています。例えば、20139月にも、上陸用舟艇から小型ボートへの照射実験が行われ成功しており、技術的に確立しているのは事実のようです。
 であるならば、我が国としては導入を検討しても良いかもしれません。少なくとも上陸した相手勢力に小銃弾を叩きこむよりは、エスカレーション防止の観点からは、はるかによい手段でしょう。
 しかも、カタログスペックとしては劣るものの、中国は「Poly WB-1」という名称の同様のシステムを開発中です。対抗手段として用意しておく必要があります。少なくとも、先方と同様の非致死性装備での殴り合いの方が、非致死性装備の相手を致死性装備で叩きのめし、それをプロパガンダに利用され我が国が孤立化するよりも望ましいでしょう。
 
米国は専用の部局を設けて取り組んでいる
 本稿では、現在の戦略環境が、ちょっとした死傷者でさえ世論の激しい反応を生み、それが戦略レベルに大きな影響を与えてしまう構図があり、中国もそうした法則が当てはまることを指摘しました。そして、そうである以上は、非致死性兵器を導入すべきであると論じました。
 ただし、あくまでも一例としてLRADや、それより望ましいものとしてADSを取り上げましたが、「これをとにかく採用すべき」というような、兵器に限った話をしたいわけではありません。
 本稿の趣旨は、多様な非致死性兵器を備えておくことが、離島防衛を穏やかに解決できる一助であり、そのために様々な非致死性兵器の研究開発、海保・海自・陸自への装備、そして在来兵器との組み合わせを含めたドクトリン研究が必要だと主張するものです。そして、それが離島防衛に際して「日中の全面的な武力衝突」を回避する大きな要素にもなりうると指摘するものです。
 米国防総省では、非致死性兵器について専用の部局を設け、多種多様な「敵を傷つけずに無力化する装備」に取り組んでいます。我が国も優先的に取り組むべきではないでしょうか。
 離島防衛に必要なものとは、もう少し高い烈度を前提とする装備と運用、もしくは今回指摘したような非常に低い烈度での装備や運用だと考える次第です。
(参考文献)
David Jablonsky, "US Military Doctrine and the Revolution in Military Affairs," Parameters, 24 Autumn 1994.

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