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羽のない風力発電機「Vortex」、Indiegogoの支援金により100W規模で試験運用

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これは良さそう。 低周波公害がないこと、発電コストが安いことなどメリットたくさん。
 

羽のない風力発電機「Vortex」、Indiegogoの支援金により100W規模で試験運用

佐藤信彦2015/07/30 13:47
  • しいタイプの風力発電機「Vortex」がクラウドファンディングサービスIndiegogoで支援を募ったところ、目標金額を上回る6万5765ドルを集めることに成功した。

ただの棒に見える風力発電機(出典:Indiegogo)
 風力発電機というと、高い塔の上に取り付けられた巨大なプロペラが回転する姿を思い浮かべる。ところが、Vortexにはプロペラがなく、地面にただの棒が立てられているだけだ。
 この棒に風が当たると風下側に発生するカルマン渦列の力で棒が振動するので、この振動エネルギーを根元に設けた発電機で電力に変換する。台風など強風で道路標識が振動しているところを見たことがあるだろう。それと同じ原理だ。

風下に生ずるカルマン渦列(出典:Indiegogo)
 プロペラを回す必要がないため、構造が非常に簡単になる。羽のような巨大な部品だけでなく、プロペラを回転させる軸受け、風向きに合わせて方向を換える仕組みなどが不要で、部品コスト、組み立てコストを大幅に下げられる。可動部がないため機械的な劣化を心配する部品も少なく、メンテナンスコストも抑えられる。
 また、縦に長い棒状の構造物を立てるだけなので、プロペラを回すタイプよりも多く発電機を同じ敷地面積に設置できる。振動する棒を受け止める根元の部分は、丈夫な炭素繊維などの素材を採用する。シミュレーションによると、耐用期間は32~96年あるという。

プロペラ式より高効率(出典:Indiegogo)
 Vortexの具体的な発電コストは、製造/設置/メンテナンス、借地代、保険料など設置から撤去までの全期間にかかる総費用を含めるLCOE値で示すと1kWh当たり0.035ドル。これは、太陽光や太陽熱、各種火力、原子力などの発電方法に比べてもはるかに安く、一般的なプロペラ式風力発電の4割で済む計算だ。

発電コストをLCOE値で比較(出典:Indiegogo)
 さらに、羽がないことで2つの大きなメリットが生まれる。1つは、高速回転するプロペラと鳥の衝突が発生せず、鳥を傷つけずに済むこと。もう1つは、20Hzを下回るような低周波騒音を出さないこと。これにより、設置できる環境がプロペラ式より広がる。
 Vortexの開発チームは、Indiegogoのキャンペーンで得た資金を発電能力100Wの「Vortex Atlantis」開発に使い、試験運用する。

100W規模のVortex Atlantisは高さ3m(出典:Indiegogo)

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