遂に中国に「ノー」を突き付けた台湾。蔡英文勝利が意味するもの
先日の台湾総統選挙で蔡英文氏が大勝利を収め、初の女性総統が誕生しようとしています。親中派とされた現職の馬英九氏に対し、蔡英文氏は台湾独立志向の親米・親日家と言われており、若者を中心に絶大な支持を受けて当選しました。これを受けて、今後日本の対台湾政策はどのように変わっていくのでしょうか。そして、台湾独立の現実味は? 無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者、北野幸伯さんが鋭い意見を述べています。
台湾総統選、蔡英文勝利の世界史的意味
蔡英文主席、地滑り的勝利…台湾総統選まとめ読売新聞1月17日(日)20時39分配信【台北=比嘉清太】16日の台湾総統選で初当選を果たした最大野党・民進党の蔡英文(ツァイインウェン)主席は、得票数、得票率ともに同党候補で過去最高で地滑り的な勝利を収めていたことが、台湾・中央選挙委員会のまとめからわかった。台北市では民進党総統候補者として初めて得票率が5割を上回った。今回の総統選で蔡氏は、民進党が地盤とする南部だけでなく、国民党の地盤だった北部でも朱立倫(ジューリールン)氏の得票数を上回った。最終的に22の自治体のうち、一部の離島などを除く18自治体で勝利を収めた。
蔡英文さんとは?
1月16日に行われた台湾総統選挙の結果、野党・民進党の蔡英文主席が圧勝、総統就任式が行われる5月20日に台湾の政権交代が実現する。選挙戦最大の争点は、中台関係-台湾は中国とどう向き合うべきか-だったが、台湾は有権者の総意として、馬英九現政権の急速な対中接近路線に「ノー」を突き付けたわけだ。
(時事通信1月19日)
変わる流れ
著者/北野幸伯
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台湾人少女に謝罪を強要。中国が致命的な墓穴を掘った台湾総統選
【台湾】中国が致命的な墓穴を掘った台湾総統選
蔡英文ペア:6,894,744票 56.1234%
朱立倫ペア:3,813,365票 31.0409%
宋楚瑜ペア:1,576,861票 12.8357%
民主進 :5,370,953票 44.0598% 68議席
中国国民党 :3,280,949票 26.9148% 35議席
親民党 :794,838票 6.5203% 3議席
時代力量 :744,315票 6.1059% 5議席
台湾団結聯盟:305,675票 2.5076% 0議席
その他 :818,180票 6.7118% 2議席
中国のネットユーザーを煽り、そのような世論を形成しようとしたことは間違いないでしょう。直接しむけたわけでなくとも、日頃から台湾独立派を「分裂分子」として敵視し、中国人民を啓蒙してきたのですから、黄安が告発したツゥイに対して人民が憤激するのは当然の成り行きです。先の環球時報の勝ち誇ったような「勝利宣言」が、その証拠です。しかし、それが結果的に逆効果になってしまったのだから皮肉なことです。
しかしその結果、台湾に不利なことばかりが続きました。多くの企業が大陸へ進出したことで、台湾内の失業率は上がり、大陸への投資が増え台湾内の経済は下降の一途をたどりました。そんな状況に嫌気がさし、現状を打破したいとの不満が積もり積もっていたのです。そのひとつが、2014年3月に起こった「ひまわり学生運動」なのです。
ところが、今回の選挙では蔡英文が勝利しました。なぜなら、「買票」も「作票」もできなくなったからです。投票所内には不正をチェックするボランティアスタッフが数人配置され、誰もが不正を許さないムードが社会に広がっていました。誰もが民主主義を強く意識し、ボランティアには学生の姿も多く見かけられました。国民党離れが時代の流れとなったのです。
4年前の総統選挙では、330万の無効票が出ました。それは蔡英文の票でした。もし、不正がなかったら蔡氏は4年前に総統になっていたはずです。だからこそ、前回敗れた際に蔡英文は、かの有名なセリフである「可以哭泣、不要放棄!! (泣いてもいいが諦めてはいけない)」と訴えることができたのです。
また、噂によると馬英九政権での財政赤字は22.5兆台湾元(約100兆円)にものぼり、蔡英文政権は日本に頼るしか道はなく、台湾の中国離れは避けられないとも言われています。実際、台湾の苗栗県では、公務員の給料の支払いが遅延し、払えなくなっています。中国の地方政府とよく似ています。
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!