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製造業を中心に、日本企業が国内回帰の動きを鮮明にしています

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一番大きな原因は円安効果、日銀の国債買い入れもだが、原油、天然ガスなどの輸入が原発の休止による大幅な増加が寄与している。
 原発推進派は原油輸入増加で日本は損をするとすぐ言うが円安効果のメリットの方が遥かに大きい。
働く工場がないことには人口増加も望めない原発停止による燃料費増加などはそのためのコストと考えなくてはいけない。
 何もかも黒字が良いのではない自分の国だけが大幅黒字でほかの国は赤字でも構わないというのは今の世界では通用しない。
 
 
 
渡邉 哲也氏 
  • 国内回帰と立地戦略
  • 元気を取り戻したニッポン国内回帰のトレンドは続くか
  • 作家・経済評論家
    渡邉 哲也氏
アジア各国での人件費高騰や治安リスク、円安などの理由から、企業が生産・研究拠点の一部を国内に戻す動きが顕著になってきた。品質の安全・信頼性などの観点からも、国内回帰の動きが加速化している。世界における日本の強み、そして企業にとって価値ある用地の条件とは何か、気鋭の作家・経済評論家である渡邉哲也氏に聞いた。

国内回帰は必然的な流れ

渡邉 哲也氏
――製造業を中心に、日本企業が国内回帰の動きを鮮明にしています。これは円安などを要因とした一時的なものなのでしょうか。
 確かに近年の円安進行は国内回帰の要因の一つです。加えて、コストや安全面など多様な要因から、海外生産が必ずしもベストの選択肢でなくなっていることが挙げられるかと思います。
  まず、これまで最大のアウトソーシング先だった中国の人件費が高騰しています。最低賃金が毎年高い伸び率を見せており、都市部での賃金はここ10年で3倍近くもアップしました。円は人民元に対しても円安となっており、為替面でさらに高コストになっているのです。
――中国で製造または製造委託していた各国企業は、ベトナムやバングラデシュ、ミャンマーなど、アジア各国にシフトする動きを見せています。
 安い労働力の確保だけで工場は稼働できません。広大な土地や交通ネットワークに加え、安定した電力供給や水力供給など、様々なインフラの安定が欠かせません。ですから、中国が駄目なら他の新興国へ、と簡単にシフトできるものでもないのです。
 また、現在多くの国際企業は、リスクヘッジの面から生産拠点を1カ所に集約せず、「多重化」させる動きを見せています。2011年のタイ洪水では流域の主要な工業団地が浸水し、世界全体で生産が麻痺しました。こうした反省もあって、グローバルなサプライチェーンが再構築されつつありますが、その中には当然日本も含まれています。 
サプライチェーンの多重化 

高い消費力も日本の魅力

――国際競争力において、日本で製造することのメリットはどのようなものでしょうか。
 まず治安の良さ、労働者の教育水準や倫理観の高さ、労働争議の少なさといった点が挙げられます。また、近年は特許など知的財産権の管理も不可欠です。日本ではコピー商品対策のリスクも少なく、安心できる国といえます。国の安定が国際的信頼感につながっているのです。
 インフラ面では、海外との交通ネットワークが海・空両面で充実しています。首都圏においては、成田空港に加えて羽田空港も国際線化し、国際航空拠点として遜色ない設備とキャパシティーを確保しつつあります。もちろん港も整備されており、太平洋、日本海の両側の巨大港が高速道路網で大都市とネットワークされています。
 工場立地に欠かせない水力、電力についても、日本は質の高いインフラが安定して供給できる環境にあります。東日本大震災以降、地震に対するリスクが指摘されたりもしますが、国土強靱化の名の下、国を挙げて防災インフラを整備していることもあり、むしろ震災以前より安全性が高まっているとの評価も出ています。
――コスト面はともかく、環境的には競争力で各国に負けていないわけですね。
 もう一つの優位性として、日本は先進国として高い消費地でもあることが挙げられます。この世界有数の消費地向けの生産では、「高付加価値」がキーワードになります。例えば白物家電においても、国内向けの高付加価値な製品の生産を国内に移そうという動きがあります。
 現在、一度に多くのモノをつくって在庫を抱えるのでなく、必要なときに必要なだけの量をつくる「ジャストインタイム」生産が主流になっていますから、リードタイム(待ち時間)が長いと販売機会のロスにつながります。物流コストを考えても、生産地は最終消費地に近いほうがいいわけです。今後は日本国内でしかつくれない高付加価値な製品の生産拠点が増えていくでしょう。
ハブ空港として多くの国とつながる成田・羽田の両空港国内の用地環境について、首都圏を例に教えてください。
 東京を中心とする首都圏は企業も人も集中するので、東京や横浜などの大都市は地価や賃金も高く、企業施設全てをこのエリアに置くことは現実的ではありません。
 現在は、企業の生産やロジスティクスの動線を上手に分散させる「多重化」が大切です。幸い、国内の交通インフラは充実しています。高速道路などの整備により、トラック輸送網は他国にない緻密なネットワークを誇りますし、鉄道や航空貨物も国内全域をカバーしています。
――国内でも役割分担し、それらを太い動線で結ぶことが必要なわけですね。
 最近は最終組み立て工場の候補地として、東北地方が注目されています。サプライチェーン上は組み立て工場に近いほうが有利です。ただ、高速道路網の整備によって、首都圏も東北地方や甲信越地方により近くなっています。現在圏央道が整備されつつありますが、圏央道は首都圏の主要な港や空港へのアクセス利便性が高く、首都圏と東北や甲信越地方を結ぶ「ハブ」の役目を果たしていくことでしょう。
――圏央道の沿線エリアのメリットを聞かせてください。
渡邉 哲也氏
 「鮮度」でしょうね。例えば、コンビニエンスストアやスーパーなどで販売する弁当やチルド製品の製造では、幹線道路の近くに大工場をつくり、首都圏全域に配送する物流系統が構築されています。圏央道が開通することにより、交通網が二重化され、より安定した輸送時間が見込めるようになります。安定した輸送時間は、鮮度が必要な商品に不可欠な要素です。外食チェーンが野菜を国産にする動きもあり、鮮度が必要な事業にとって圏央道沿線エリアは有望でしょう。例えば、千葉県は海・空の交通に加え、道路面でもアクアラインと圏央道が使えるようになり、より交通インフラが整った感があります。
 また、圏央道の外側のエリアは都内より賃金も低めであり、雇用確保や人件費の面でも都心より有利といえます。ニュータウンが近くにあるエリアでは、女性労働者などの従業員も確保しやすいでしょう。
圏央道により交通網の「多重化」が進む

設備投資はこの夏以降、より鮮明に

――今後も日本は国際競争力を高めていけるのでしょうか。
 皆さん、長期不況や少子高齢化などで将来を悲観する方が多いのですが、日本の国力は衰えていませんよ。各国に対して貿易黒字を解消するため、近年の輸出産業は製品ではなく原料やパーツを供給する迂回貿易が主流になっています。あまり知られていませんが、実は日本企業が供給するパーツが世界シェアのほとんどを握っている分野も多いのです。世界をリードしていく日本の底力はきちんと残っています。
――そうすると、今後も国内の設備投資は活発になっていくのでしょうか。
 企業が利益を上げた場合、次に取るステップとしては賃金アップや株主への配当、内部留保、設備投資などが考えられます。しかし内部留保は多額の税金がかかることと、インフレ基調でモノに対してお金の価値が相対的に弱まるため、企業は利益を賃金アップや設備投資に回していくことでしょう。ものづくり大国・ニッポンの底力はこれから目に見えてくるはずです。
 アベノミクスが本格的に動き出してから2年強がたちました。この6~7月に多くの企業の決算が発表され、賃金アップの傾向が強かった昨年度決算から、今年度は設備投資の動きが活発していくことでしょう。この夏以降の企業の動きを注視してください。
高野 泰匡氏
Profile
渡邉哲也(わたなべ てつや)氏
○作家・経済評論家○ 1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒。貿易・卸の企業に勤務の後、独立。複数の企業運営にも携わる。海外の経済情勢に精通し、政治・経済状況のリサーチと解析には定評がある。リーマンショックを当てた『ドル崩壊!』を監修。著書『突き破る日本経済』『「瑞穂の国」の資本主義』など多数。

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