G7Table
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G7はロシアと中国を非難する共同声明を採択して閉幕しました。

中国による南シナ海占拠と埋め立てを、ロシアによるウクライナ占拠を同列に非難した事で、新冷戦構造とも言える状況が発生した。


G7が中露非難声明

6月8日、ドイツのエルマウで開催された先進7カ国首脳会議(G7・サミット)は、中国とロシアが進める力による現状変更を非難する首脳宣言を採択して閉幕しました。

中国による南シナ海の岩礁埋め立てに「力による現状変更を強く反対する」と明記した。
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ロシアについてはウクライナ問題での停戦合意が履行されていないとして、制裁を継続する方針を示した。

G7共同宣言では、領土の一体性や国際法、人権の尊重、「東シナ海と南シナ海での緊張を懸念する」

「威嚇、強制、武力の行使、埋め立て、一方的な現状変更に強く反対する」と事実上中国を避難しました。

ウクライナ問題では、ロシアを名指ししてクリミア併合を非難しました。


首脳討議で、安倍首相は中国について「一方的な現状変更の試みは放置してはならない」と発言し、各首脳が賛同した。

ウクライナ危機では「力による現状変更に毅然と対応しながら対話を継続する」と対話の重要性も述べた。


日本は中国問題を訴えていたが、ロシアとウクライナに対する直接の利害関係は無い。

反対に欧州各国はロシア制裁を日本に要求してるが、その一方で中国と経済協力したり武器輸出すら行っている。

もし日本がロシア制裁から抜けて制裁解除すれば欧米は大きな打撃を受ける事になり、欧州が中国と親密な関係を結べば日本は打撃を受ける。

安倍首相はG7の直前、唐突にウクライナを訪問しウクライナ支持を表明してみせ、その後G7で中国非難の共同声明が出された。

日本と欧州の間で裏取引きがあったと見るのが正しいでしょう。


G7会議では中国が創設したアジアインフラ投資銀行も話し合われ「会議時間の3割を占めた」ほど議論が集中したという。

イギリス、ドイツ、フランス、イタリアはAIIBに参加しており、日米は参加していない。

安倍首相は「持続可能でないことに金をかけるべきではない」「運営が透明性に欠ける」などと批判しました。

アメリカも批判的な意見を述べたと見られるが、参加国の欧州とは合意せず、AIIBについては共同声明に盛り込まれなかった。

欧州の中でも特に中国依存が酷いのが、貿易依存度が元々高いドイツと、中国からの投資が多いイギリスとされている。


中国に対して「南シナ海での一方的な現状変更に強く反対する」としてロシアに対しては「停戦合意が履行されない限り制裁を続ける」と中露両国を同列に並べた。

中国を、経済制裁を受けているロシアと同列とした事は極めて重要で、旧東側と西側の冷戦構造を連想させた。



新・冷戦構造

G7の議論では米国と日本が中国を批判する議論の中心になり、中国寄りの姿勢が目立つ欧州各国を説得した。

有り体に言えば、「ウクライナ危機で欧州に協力して欲しければ、南シナ海危機では日米に協力しろ」という事である。

シンガポールで15年5月に開かれたアジア安全保障会議では、アジア各国から中国を非難する発言が相次ぎ、日米などが共同で中国に対処する方針が示されていた。

アメリカ軍は今2020年までに米国の空軍と海軍の軍事力の60%をアジアに再配置する「アジア回帰」「リバランス」戦略を発表していて、標的は中国とロシアである。

特に中国は南シナ海の8割を軍事占領しており、容認すれば周辺各国を支配下に置いて戦力を拡大するとみられている。

もし日本列島からインドネシア、マレー海峡に至る一ヶ所でも中国の支配下に落ちた場合、中国海軍は太平洋に自由に出入りできる。

このパターンは冷戦期のソ連と日本の関係と同じで、日本列島の一ヶ所でもソ連の手に落ちれば、ソ連軍は太平洋に出入りできる。

北方領土、千島列島は冬は流氷で凍結するので、ソ連海軍は冬季は太平洋に出れなかった。


今回はソ連が中国に変わったわけだが、結論は同じ事で、中国海軍が太平洋に出れば、日本列島は中国海軍に包囲され、中国の許可を得ないと船を航行させる事も、旅客機で旅行もできなくなる。

現在も南シナ海を船や飛行機で通行するには、占領している中国軍の許可を得ないと撃墜や拿捕される恐れがある。

アメリカにとって日本列島からマレー海峡の線が破られる事は、中国海軍がカリフォルニアまでやってくるのを意味している。

防衛線が沖縄米軍基地から、一気にカリフォルニアに後退するのである。

ハワイやグアムは点に過ぎないので、航行する潜水艦や軍艦を追い返す事はできない。

アメリカは中国が南シナ海での埋め立てを止めないなら、海軍や空軍を南沙諸島などに駐留させると警告している。

またフィリピンへの米軍駐留を再開する他、ベトナムへの軍事支援も検討している。

米軍と自衛隊は南シナ海で共同パトロールする事にしており、中国への圧力を徐々に強めている。