中国がアメリカの言う事を聞かなくなって、日本に集団的自衛権で軍事貢献しろと言って来られても、金も人員もない。安倍総理に何とかしろと言ったところで無い袖は振れない。
「国家に友なし、国益のみ」。同盟関係と言えども、それが国際政治の現実である。
アメリカはいざとなれば、汚れ仕事を日本に押しつけ、
梯子を外すくらいのことは平気でする可能性がある。
米国の狙いはどこにあるのか
ところで、日本に共同パトロールを呼びかけるアメリカの真の狙いは何だろうか。台湾南部から南沙へ掛けての広大な海域は、深さ3000メートル級の、戦略原潜が潜むには絶好の海域である。戦略ミサイル原潜の整備を急ぐ中国は、実はそれを隠す深い海を自国周辺に持っていない。
黄海は、それこそ潜航すら危険ほど浅すぎ、東シナ海も浅い大陸棚のため、ミサイル原潜が潜むには適さない。巨大なミサイル原潜が浅い海を航行すると、様々な痕跡を水面に残し、それは軍事衛星から丸見えになる。広大で深い海は、アメリカ本土を狙うミサイル原潜を潜ませるために、中国がどうしても内海化したい場所である。その遠大な計画の第一歩として、中国は長年、南シナ海に突き出た海南島の海軍基地を整備してきた。
アメリカ海軍が本当に海上自衛隊にやらせたいのは、この海域での対潜活動に他ならない。実際、ソヴィエト海軍の潜水艦狩りを目的として成長してきた海上自衛隊は、その能力を有している。こと対潜作戦に関しては、米海軍より能力が高い、すなわち世界一と言っても過言ではない。
逆に言えば、中国が一番恐れているのは、海上自衛隊に、この海域で対潜活動を繰り広げられることである。
もし海自艦艇が南シナ海域で活動を始めたなら、中国海軍は、海南島基地から立ち所に倍の数の水上艦艇を繰り出して威圧し、空からも戦闘機を飛ばして嫌がらせし、最終的には、そっちがこちらの領土を脅かすならと、今度こそ尖閣諸島に海軍艦艇を派遣してしっぺ返ししてくるだろう。
私は、このパトロールに関して、やるべきか否かの意見は持ち合わせない。相当に困難で、覚悟の要る任務だからだ。しかし我々の判断如何に関わらず、対米協力の名の下に出撃することになるのだろう。アメリカのリバランス政策は、予算不足のせいで巧く進んでいない。アメリカ海軍は、今後とも徐々に縮小し続ける。その隙間を埋めるように、中国海軍が進出してくるだろう。日本は、その縮小する第7艦隊の埋め合わせをすべきだとは個人的に思うが、日本には、憲法上の制約があり、また防衛予算も決して青天井では無い。
そして、肝心なことだが、アメリカは中国と国境を接しているわけではない。彼らはいつでも逃げ出せる。尖閣でそうしたように、いざとなれば、優柔不断な態度でお茶を濁すことができるのだ。その結果が今日の南沙の事態であることは、言うまでも無い。オバマ政権の腰が引けた尖閣問題へのアプローチが、中国への誘い水になったことは疑いようが無い。中国は今、対中政策が不透明になる米大統領選挙の前に既成事実を完成させようと必死である。
封鎖があったとしても迂回できる
最初の命題に戻ろう。「南沙を巡る状況は、我が国の存立危機事態にエスカレートする危険がある」との命題だ。私の考えでは、この命題は真ではない。たとえ最悪の事態を迎えて、中国が南沙一帯を封鎖しても、船舶はフィリピン東側へ迂回すれば済むのだ。そのコスト増は、こと原油に関しては、価格に上乗せしても末端のガソリン価格にはたいして影響しないレベルに留まるだろう。
しかし、海域を封鎖するとなれば、自国に向かっている船舶も影響を受ける。中国船ばかりが中国の港へ向かっているわけではないし、海事保険料の上昇は全ての船主にのし掛かる。中国もまた損害を被るから、そう簡単にできる話ではない。
さらに最悪の最悪のケースを想定するなら、南沙の基地から飛び立った中国の戦闘機が、フィリピン東側へと迂回した日本の船舶をミサイル攻撃するという事態も考えられるが、これはいささかナンセンスだろう。なぜなら、瀬戸際政策と戦争は全く別のフェーズである。
中国の指導部は傲慢で、瀬戸際政策に秀でているが、戦争を起こすほど愚かではないと信じたい。もしそんな事態を招いたら、より大きな犠牲を払うことになるのは中国の方である。なぜなら日本は、中国の太平洋航路を完璧に封鎖できるからだ。いずれにせよ、それはもうホット・ウォー。戦争である。
封鎖まで行かなくとも、偶発的事故を契機に、タンカーが該当海域を回避して遠回りを強いられるという事態は十分ありうる。南沙での中国の傍若無人な振る舞いは決して許されることでもないし、こうした事態への国際貢献、対米貢献は大いに結構なことだ。
しかし、思い出して欲しい。尖閣を巡って、日本がもっともアメリカのバックアップを欲していた当時、アメリカがどのように振る舞ったかを。彼らは、尖閣に射爆場まで設定していながら、徹頭徹尾、領土紛争不介入の立場を貫き、中国国内で日本車が焼き討ちに遭っているすきにGM車を売りまくったのである。
アメリカはいざとなれば、汚れ仕事を日本に押しつけ、梯子を外すくらいのことは平気でする可能性がある。「国家に友なし、国益のみ」。同盟関係と言えども、それが国際政治の現実である。
南シナ海の問題は5日の日にも書きましたが、中国の軍事力にわが国の軍事力で対抗するのは馬鹿げている。だから中国の軍事力を削ぎ落すには中国を経済的に追い込んで破綻させれば、南シナ海どころではなくなり中国は内乱状態にもって行った方が簡単だ。しかしこれは時間がかかる。
中国は親中派のオバマ大統領のうちに南シナ海に既成事実を作ってしまいたい。オバマ大統領ではとても戦争が出来る大統領ではなく、ウクライナでも中東でもぐずぐずしているうちに既成事実が固められてきている。アジア重視の掛け声も空しく響きまわっていますが、南シナ海には米海軍の軍艦は沿岸用小型艦船が一隻あるだけだ。
アメリカは世界各国に軍事基地を展開していても、費用負担が過大であり留守番部隊がいるだけで、ほとんどが沖縄の海兵隊基地のように空洞化している。ならば米軍基地を日本に返してくれればと思うのですが、日本の官僚たちが必死に在日米軍を引き留めている。霞が関の官僚にとってはCIAや在日米軍が権力の後ろ盾であり、政治家ににらみを利かせている。
日本は軍事的な貢献を求められても、それだけの予算も無ければ人員も不足がちだ。GDP1%の枠を今でも守っており、日本経済の停滞でGDPも伸びないから軍事費も伸びない。アメリカが日本叩きの一貫で円高にしてしまってバブルが崩壊して日本経済はガタガタだ、アメリカは日本と言う同盟国を封じ込めて中国と言う潜在敵国を発展させてきた。
中国がアメリカの言う事を聞かなくなって、日本に集団的自衛権で軍事貢献しろと言って来られても、金も人員もない。安倍総理に何とかしろと言ったところで無い袖は振れない。ソマリア沖に護衛艦二隻とP3Cを送っているがソマリア沖は日本から遠すぎる。基地を臨時に借りていますが、南シナ海をパトロールするとすればフイリピンに基地を借りなければならない。
どうせなら主権を放棄した台湾を日本に返してもらって、台湾から南シナ海にパトロールした方が良いのかもしれない。いずれにしても中国が存在する限り南シナ海や東シナ海は中国が進出してくる。大石氏は南シナ海からアメリカは遠いからアメリカは梯子を外してくると見ていますが、第一列島線を越えたら、さえぎる国は無くアメリカの西海岸まで何もない。
太平洋戦争中も日本の潜水艦がアメリカの西海岸を攻撃しましたが、第一列島線はアメリカにとってのマジノ線だ。だからアメリカが西太平洋を中国に譲って引き揚げる時はアメリカが本当に衰退した時だろう。日本は単独でも中国と対峙する覚悟が要りますが、在日米軍がいる限りは憲法改正も難しい。
日米安保と平和憲法はコインの裏表であり、この二つがある限り日本の真の独立は無いのであり、アメリカは中国を大国に育てる事で東アジアのプレゼンスを維持しようとしてきましたが、中国が軍事大国になりアメリカに挑戦的になるとアメリカは怖気づいたように見える。しばらくはアメリカの出方を見るしかありませんが、南シナ海の中国が軍事基地を作っても日本の責任ではない。それだけの軍事予算も無ければ覚悟も無い。