それに、航海日数が2倍になってしまうと、当然ながら必要な船腹数も船員数も全て2倍ということになる。そのため、中国軍機による攻撃の可能性はゼロでも、船腹数や船員の確保そのものが極めて困難になり、日本が必要とする原油や天然ガスの供給量は維持できなくなる。
今の国会でもめている安保法制だがペルシャ湾とか地球の裏側に行ってとかの議論が盛んだが一番議論が必要なのは南シナ海であるということが解っていない政治家ばかりだ。
場勉強不足のアホばかりだ。
日本はアメリカの後ろ盾なしには支那からいいようにに舐められ挙句は占領されるということもわかっていない政治家も多すぎるダメな国。
日中関係が最悪の事態に陥った場合には、「南シナ海は
迂回できる」などと言っていられない事態に日本国民は直面する
人工島出現により迂回航路も危険にさらされる
さらに、日本にとって都合の悪いことに、日中間が上記のような険悪な関係に立ち至った場合には、南シナ海縦貫航路どころかマカッサル海峡経由の迂回航路すらも通航できなくなる可能性が現実のものとなりつつある。
本コラムでも繰り返し取り上げているように、中国は南沙諸島の数カ所に軍事拠点としての人工島を構築している。そのうちファイアリークロス礁には3000メートル級滑走路が建設中であり、ジョンソンサウス礁をはじめその他の人工島にも本格的な軍用滑走路が出現するものと考えられている。
それらの南沙諸島人工島の航空基地に人民解放軍戦闘機や爆撃機などが配備されると、迂回航路が通過するセレベス海やマカッサル海峡は人民解放軍戦闘機の攻撃圏内にすっぽりと入ってしまう。その外縁であるジャワ海やロンボク海峡その他のインドネシア海峡部だけでなくティモール海やオーストラリアの北西の要衝ダーウィンまでもが人民解放軍爆撃機の攻撃圏内に収まることになる。
したがって、迂回航路を日本に向かって北上するタンカーも、中国軍戦闘機や爆撃機の攻撃の脅威に曝されることになり、マカッサル海峡経由の迂回航路は“危険回避”の役割を果たさなくなる。そのため、日本向けタンカーは、中国軍機による攻撃可能性がほぼ存在しない(そうでなければ乗組員は絶対に集まらない)以下のような“大迂回航路”を経由しなければならない。
「インド洋 → メルボルン沖 → 珊瑚海 → グアム沖 → 日本」
およそ2万2000キロメートルに及ぶ大迂回航路を通航する場合、航海日数は南シナ海経由の倍の6週間近くかかることになるため、もはや燃料費も無視しうるレベルではなくなってしまう。それに、航海日数が2倍になってしまうと、当然ながら必要な船腹数も船員数も全て2倍ということになる。そのため、中国軍機による攻撃の可能性はゼロでも、船腹数や船員の確保そのものが極めて困難になり、日本が必要とする原油や天然ガスの供給量は維持できなくなる。
やはり南シナ海は日本の死命を左右する
中国は広大な南シナ海の8割以上の海域を“中国の海洋国土”と公言してはばからない。いくらアメリカや日本やオーストラリアが非難したからといって、中国がすでに巨額の建設費を投入している“中国の主権下における”人工島の建設を中止する見込みは全くない。
中国に中止させる唯一の手段は、アメリカをはじめとする反中国勢力が人工島建設を武力によって阻止することであるが、当然それは中国との全面戦争を意味するため、実施可能性はゼロに近い。
要するに、極めて近い将来に、南沙諸島に複数の航空基地や軍港を備えた強力な人民解放軍海洋基地群が誕生することは避けられそうもない。
ということは、日中関係が最悪の事態に陥った場合には、「南シナ海は迂回できる」などと言っていられない事態に日本国民は直面することになる。南シナ海は日本にとって「重要影響事態」も「存立危機事態」も発生しうる生命線であるとの認識を持って、安全保障関連法案に関する国会審議は進められなければならない。
南シナ海の領有権問題は中国の台頭とアメリカの衰退の象徴のようなものであり、AIIB加入問題ではアメリカもショックを受けていたようだ。特に英独仏伊などのNATO同盟国からも裏切りが相次いだ。中国はアメリカ包囲網を作って来た事が成果となって現れてきた。
現状では当てになりそうな味方は日本ぐらいになってしまって、日本叩きをしているような状況ではなくなってしまった。日本叩きと言っても日本は同盟国だから表向きには叩けないが、円を吊り上げる事で輸出産業にダメージを与えてきた。表向きには為替市場は自由市場だがいくらでもアメリカは操作できる。
このような状況でアメリカは安倍総理を復権させて中国に対抗させようとしている。しかし集団的自衛権の問題でも民主党が取り上げるのは機雷除去やホルムズ海峡などで南シナ海の想定した議論は行われていないようだ。私はほとんどテレビを見ていないから分からない。
自衛隊にしても南シナ海までP3Cでは航続距離がギリギリであり、P1はまだ訓練中だ。護衛艦も沿岸用の小型艦船が多く輸送艦を付けないと長期の任務ははたせない。潜水艦ですら16隻体制で長期の潜行は無理であり、最新型のジーゼル潜水艦で連続潜行は2週間程度だ。
中国は原子力潜水艦も持っているし中距離ミサイルも持っている。日本にはそれに対抗できる戦力は無い。実際に緊張状態にならなくても南シナ海の軍事基地に長距離爆撃機を配備して空を飛びまわれば、南シナ海を航行する船や航空機は脅威を受ける。インドネシアやオーストラリアまで手が届く事になり脅威にさらされる。
ここまで中国を大国に育て上げたのは、キシンジャーやブレジンスキーと言ったアメリカの戦略家たちであり、米中のG2体制で覇権を維持しようとした。彼らは数百回も中国を訪問していて、中国人が豊かになれば洗練された民主国家となると予想していた。アメリカ人のアジア理解はその程度であり朝鮮戦争でもベトナム戦争でもアジアに対する無知が招いたことだ。
地政学的にも南シナ海が中国の領海となれば、インド洋と太平洋が分断される事であり、マラッカ海峡も南シナ海の基地から中距離ミサイルの射程の範囲内となる。おそらく近いうちに南シナ海の上空も防空識別圏を宣言するのでしょうがオバマ大統領は何もしないだろう。ブレジンスキーが外交顧問だからだ。