正に正論だがその実行のためにはサヨクの妨害が一番の障害だ。
中国から海を守れ 日本の選ぶ未来は「海を通した世界貢献」だ 山田吉彦・東海大教授
奈良市の奈良ホテルで5月11日に開かれた奈良「正論」懇話会で、東海大海洋学部教授の山田吉彦氏が「海洋国家日本の未来」をテーマに講演した。詳報は次の通り。
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必要とされる自衛隊
ソマリア(東アフリカ)沖には海賊がはびこり、多数の船員が身柄を拘束されていたが、それを変えたのが日本の自衛隊。ジブチを拠点に空から見守り、異常があると近隣国に伝え、通過する船を日本の護衛艦が守ることを続けた。この結果、海賊たちは出ていかざるを得なくなった。
また、戦乱でいつ機雷が使われるかわからない状態が続いている。日本は7千発の機雷を処理した実績がある。石油やガスを運ぶ船を守れるのは日本だけ。日本のために働いてくれる人を守るのは当然で、集団的自衛権の容認になぜ議論が必要なのか。仲間が襲われているのを見て見ぬふりをしろというのは自衛官の心が許すわけがない。
圧力を使い海の支配進める中国
中国は南シナ海に6カ所も飛行場を作っている。東シナ海も奪おうと手を伸ばしている。その理由は、中国が世界に出ていこうとすると、必ず日本を横切る必要があるためだ。中国の生命線は日本が握っていると言っていい。
昨年10月、中国からサンゴ密漁船が大挙して訪れたが、燃料代は少なく見積もって1隻300万円はかかり、採算がとれるわけがない。(国の)指示を受けて来ている以外にない。中国の圧力だ。尖閣諸島を東京都が購入する話が持ち上がった際にも、五島列島(長崎県)の玉之浦港に106隻の中国船が避難を名目に停泊したことがあった。付近は限界集落だらけで警察官はわずか1人。対して船上の中国人は約2千人。漁民という建前なので手出しできない。このように圧力を使い海の支配を進める中国に対抗し、日本は海を守らないといけない。
海洋大国日本の責任
平成6年に国連海洋法条約が発効されたことで、日本は大きなメリットを受けた。沿岸から200カイリの範囲に経済的権益を持つ。日本は447平方キロメートルの領海と排他的経済水域(EEZ)を持ち、この中の海水量が世界4位(面積は6位)という海洋大国。この海には、金や銅が採れる海底熱水鉱床が100兆円分、次世代エネルギーのメタンハイドレートは日本人が使うガスエネルギー94年分が眠っている。この国は資源大国だと自信を持っていい。
日本は宗谷海峡、津軽海峡、大隅海峡、対馬海峡を封鎖して沖縄諸島の万全な警備体制を取れば、中国や韓国を干上がらせることができる。アジアの国にとって非常に大きな脅威にもなり得る。だからこそ、集団的自衛権を持ち、アジアの、そして世界の海を守らないといけない。
日本人は「島国根性」という言葉を矮小化(わいしょうか)された島に引きこもった人間という意味で使うがこれは違う。岩倉具視(ともみ)の使節団がヨーロッパを訪れた際、イギリスを見て、同じ島国なのに世界へ出て工業を発展させ、経済を活性化させている姿を見て、この島国根性を見習うべきと考えた。日本人は今こそ島国根性を持ち、海を通して世界に貢献する。それが海洋国家日本が選ぶべき未来で、日本をさらに発展させていくことにつながる。
【プロフィル】山田吉彦(やまだ・よしひこ) 東海大学海洋学部教授、海洋問題研究家。経済学博士。昭和37(1962)年、千葉県生まれ。学習院大学経済学部卒。埼玉大学大学院経済科学研究科博士課程修了。東洋信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)、日本財団勤務を経て東海大准教授、平成21年から現職。尖閣諸島の活用に関する東京都専門委員や「石垣市海洋基本計画」策定委員会会長などを歴任。産経新聞「正論」執筆メンバー。主な著作に「国境の人びと 再考・島国日本の肖像」「解決! すぐわかる日本の国境問題」「海賊の掟」「日本の国境」「侵される日本 われわれの領土・領海を守るために何をすべきか」などがある。