・中国は、日本が南京虐殺や慰安婦問題についての教科書の記述を薄めたりすると、「正しい歴史を曲げ、ウソを広げる」などと激しく非難する。しかし、自国の教科書では過去の重要な歴史事実を愛国主義教育やナショナリズム扇動のために大きく歪めている。
・中国の歴史教科書は、第2次大戦のグローバルな史実を無視し、中国が日本と戦ったという1931年から1945年までの「抗日戦争」という1章だけですべてすませている。
・抗日戦争については「日本軍は中国の女性や子供を無慈悲に虐殺し、人間ではなく非道な獣となった」というような記述ばかりで、日本の国民や社会への言及は皆無である。日本の歴史もほとんど教えていない。
>嘘で固めた中共の教科書。まだ彼らにとっては日本と戦争継続中で今は休戦中に過ぎない。
狂った思想でいずれ日本に襲いかかるだろう。
中国が日本の「戦後」を認めない理由
教科書に見る中国の歪んだ歴史観
中国四川省北川県の北川紅軍小学校で、国旗掲揚後に合唱する制服姿の生徒たち(2015年1月21日撮影)。(c)AFP/FRED DUFOUR〔AFPBB News〕
「中国の教科書の偽善」──米国の大手紙「ウォールストリート・ジャーナル」(6月17日付)がこんな見出しの分析記事を掲載した。中国は日本の教科書の内容を厳しく批判しているが、自国の歴史教科書では重要な史実を無視し、ことさら愛国と反日を煽っていると指摘する報告だった。
中国の教科書が日本に関しては戦争中の残虐行為ばかりを教え、戦後の日本の平和主義や民主主義の実績はまるで無視しているという実態は、以前から指摘されてきた。中国当局が、日本の終戦70年談話で過去の戦争への謝罪のみにこだわるのも同様の現象と言ってよいだろう。
ウォールストリート・ジャーナルの記事は、「東アジアで歴史修正主義を志向する国は日本だけではない」という副題が付けられており、中国の歴史教科書の内容の偏りを「偽善」と断じる内容だった。
中国は日本の教科書の小さな修正や変更に対して国家をあげて厳しく糾弾するが、その一方で自国の国定教科書では、同様の、あるいはもっとひどい事実の無視や軽視が顕著だというのだ。
中国の教科書はどのように歴史を歪めているのか
同記事は中国の教科書の特徴として以下のような諸点を挙げていた。
・中国は、日本が南京虐殺や慰安婦問題についての教科書の記述を薄めたりすると、「正しい歴史を曲げ、ウソを広げる」などと激しく非難する。しかし、自国の教科書では過去の重要な歴史事実を愛国主義教育やナショナリズム扇動のために大きく歪めている。
・中国の歴史教科書は、第2次大戦のグローバルな史実を無視し、中国が日本と戦ったという1931年から1945年までの「抗日戦争」という1章だけですべてすませている。
・抗日戦争については「日本軍は中国の女性や子供を無慈悲に虐殺し、人間ではなく非道な獣となった」というような記述ばかりで、日本の国民や社会への言及は皆無である。日本の歴史もほとんど教えていない。
・中国共産党の失敗には触れていない。4000万人もの餓死者を出したとされる「大躍進」を無視し、「文化大革命」も単に毛沢東主席の江青夫人らの権力闘争の結果であり、共産党には非はなかったと説明されている。
・中国の教科書は全体として、中国が歴史的に被った「被害」と、共産党の業績を「美化」して教えることに徹している。この方針は1990年代の江沢民政権時代に強められ、国民のナショナリズム高揚と、共産党による統治の正当性の強調を目的としている。
・中国のこの偏向した歴史教育の最も顕著な結果は、中国国民に日本に対する敵意を植え付けていることである。さらに排外的な感情をも煽り、アジアにおける中国の膨張的な対外政策に国民の支持を取り付けることともなる。
日本の戦後の70年はほぼ無視
以上のように、この記事は米国側の専門家だけでなく、中国の一部の学者らの考察も踏まえて、中国の歴史教育の実態を批判的に取り上げていた。
最も重要な点は、やはり「抗日」と評される反日教育にあると言えよう。要するに、日本については戦争時の日本の残虐行為を誇張して伝えるだけで、日本の国家や国民については何も教えないという傾向である。
この点については、私も産経新聞中国総局長として北京に2年間駐在し、中国の教科書の内容を詳しく調査して報道したときに痛感した。日本軍の残虐行為は山のように教えても、戦後の日本についてはなにも教えないのが実態だった。
私はそのことを2000年に産経新聞の「日中再考」という連載記事で伝えた(この連載は『日中再考』という同じタイトルで単行本として刊行されている)。ここで当時の私の報告を改めて紹介しておこう。上記のウォ-ルストリート・ジャーナルの記事の指摘とまったく合致する内容である。
中学生用の教科書「中国歴史」は、中国の近代の歴史については1990年代に至るまで詳述し、他の主要諸国の歴史にも触れている。だが、日本の戦後の動きについての記述はまったくない。戦後の日中友好や日本の平和主義はもちろん教えていない。
・高校生用の「中国近代現代史」でも、中国の戦後は詳述しながらも、戦後の日本への言及は「1972年、日本の田中角栄首相が訪中し、中日国交正常化の合意に調印した」という2行だけだった。
・中学生用の「世界歴史」では、半ページほどの「日本の復興」という短い一節で、戦後の米国による占領や東京裁判、初期の経済復興に簡単に触れ、あとは「日本は社会主義陣営に対抗する米国の後方基地となった」という記述だけだった。
総括するならば、中国の教科書が日本について教えるのは、日清戦争から日本の敗戦までの51年分だけである。その間の「侵略」と「残虐」だけをものすごい分量で教えている。一方、平和の実現と友好に努めた戦後の日本の70年分の紹介はほぼゼロに等しいのだ。
中国のこうした対日姿勢からすれば、安倍晋三首相の戦後70年談話に対し、中国当局と中国国民がもっぱら「侵略戦争への謝罪」だけを求めるというのも自然だということになるだろう。