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日中関係の最悪ケース、全面戦争か局地戦争か 戦争に発展し得るという危機認識が必要

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日中関係の最悪ケース、全面戦争か局地戦争か

戦争に発展し得るという危機認識が必要

東シナ海上空を飛行する中国の戦闘機(提供:防衛省/AP/アフロ)
尖閣諸島を含む東シナ海の公海上空で6月11日、中国の戦闘機が自衛隊機に約30メートルという距離まで異常接近する事態が再び起きた。軍用機同士の異常接近は言うまでもなく偶発的な事故を招き、両国の緊張や対立を一気に高めかねない危険なものだ。しかも、5月24日に続き、一カ月も経たないうちの二度目の発生だ。日本政府は前回の異常接近後も、外交ルートを通じて中国側に厳重抗議したが、いまだ両国間では何らの再発防止策も取られていないことが浮き彫りになった。
古今東西、領土問題は数多くの戦争の原因となってきた。特に、戦争に発展し得るという危機意識を欠いた国はなかなか交渉に真剣に臨まず、のちに想定外に事態をエスカレートさせて戦争に突入するケースが目立つ。例えば、1982年のフォークランド戦争時のアルゼンチン相手の英国がそうだった。日中防衛当局間のホットラインが機能しないなか、日中の軍同士で小衝突や小戦闘が起こり、誤解や誤算から政治的、軍事的に対立がエスカレートして戦争に突入するリスクはないのだろうか。そして、いざ日中が戦争に突入した場合、それは全面戦争(total war)になるのか、あるいは限定局地戦争(limited war)になるのか。
実は、日本の官僚や軍事ジャーナリストの間では「現代戦争では、全面戦争ではなく、局地戦になる可能性が高い」との見方が根強い一方、海外の安全保障の専門家や外交官は、日中対立での全面戦争のリスクをより高く見積もっている論調が目立っている。

両国の戦闘機が緊急発進を繰り返す

ここ数日の日中両国の発表によって、東シナ海上空では現在、日中双方の戦闘機が互いの偵察機や情報収集機に緊急発進(スクランブル)を繰り返し、一触即発の事態が続いていることが改めて確認できた。
防衛省は、5月24日、6月11日の2回の接近について、中国軍のスホーイ27(SU-27)戦闘機2機のうち1機が、航空自衛隊の電子測定機YS11EBに約30メートルという距離まで最接近した、と発表した。対する中国は6月12日、日本のF15戦闘機2機が中国軍のTU154情報収集機に約30メートルの距離まで接近し、「飛行の安全に著しい影響を与えた」と日本を批判した。中国がビデオを公開してまで反論に踏み切った背景には、南シナ海や東シナ海で領有権問題をめぐって自らの強硬姿勢のせいで孤立感が深まるなか、日本の主張を無視できず、己の正当性を国際世論にアピールする狙いがあったものとみられる。
次ページ異常接近の現場は、中国が設定した防空識別圏内

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