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年金情報流出に中国軍が関与していた…日米タッグで大逆襲へ 文春報道

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転載記事です。
 
 
年金情報流出に中国軍が関与していた…日米タッグで大逆襲へ 文春報道 (1/3ページ)
2015.08.01

習近平国家主席率いる中国は、日本と米国に「サイバー攻撃」を仕掛けているのか(共同)【拡大】
 日本年金機構の個人情報流出事件をめぐり、衝撃的な報道が飛び出した。警視庁公安部が、犯行グループが中国人民解放軍の事実上の傘下組織であることを突き止めた-とするリポートを、30日発売の「週刊文春」が掲載したのだ。米国では最近、中国政府傘下のハッカーらが関与したとみられる個人情報の流出が相次いでいる。安全保障関連法案の国会審議が進むなか、国民を守るためにも、日米両国のタッグを堅固にすることが急務ではないのか。

 「人民解放軍が関係する組織が、日本の省庁にサイバー攻撃を仕掛けてくることは十分考えられる。日本と同盟関係を結んでいる米国が、中国と『サイバー戦争』状態にあるからだ」

 アジア情勢に詳しい元公安調査庁調査第2部長の菅沼光弘氏は、こう警鐘を鳴らす。

 菅沼氏の解説は後述するとして、文春が「衝撃スクープ」と銘打った、「『年金情報』流出犯は中国サイバー部隊!」という記事の概要は以下の通りだ。

 警察は、不審なメールや通信について年金機構から相談を受けた今年5月当初、生活安全関係の部門が水面下で捜査に当たった。ところが、通信やメールの解析を進めるうち、中国のハッカーグループが浮上した。

 捜査はスパイやテロリストを取り締まる警視庁公安部へと引き継がれ、外国情報機関からの情報も勘案した結果、グループの所在地が中国の上海など複数の都市であることを突き止めた。グループを実質的に運営しているのが、中国人民解放軍のサイバー攻撃部隊の「別動隊」だということも判明した-。今回の事件に、中国系組織が関与している可能性は、以前から指摘されていた。年金機構が情報流出を公表した6月初旬には、感染したウイルスには中国語の書体(フォント)が使用されていたことが報じられた。日経新聞(電子版)も6月末、「一連のサイバー攻撃に新証拠 中国系組織が関与した」との記事を掲載している。

 ただ、文春報道のように、犯行グループが単なる犯罪集団ではなく、人民解放軍系の組織だということになれば、事態は一気に深刻さの度合いを増す。前出の菅沼氏が続ける。

 「中国が、米国へのサイバー攻撃の一環として、同盟関係にある日本に矛先を向けるのは、ある意味、自然なことだ。その場合、真の攻撃の対象は官邸や警察、防衛省などの省庁であり、日本年金機構を狙ったのは“予行演習”だと推測できる。日本のコンピューターシステムの脆弱(ぜいじゃく)なポイントを探ろうとしているのではないか」

 実際、中国が絡むとみられる対米ハッカー攻撃は近年、激しさを増している=別表。

 6月には、米連邦政府の人事管理局のコンピューターシステムに何者かが不正に侵入し、約400万人分の政府職員や元職員の個人情報が流出した可能性があることが発覚した。今月9日には、他にも2150万人分の情報が盗まれていたとする同局の調査結果が発表され、サイバー攻撃の被害では「米国史上最大」(AP通信)となった。

 米人口の実に約7%にあたる個人の情報が盗まれるという異常事態であり、人事管理局のアーチュレタ局長の引責辞任にまで発展した。中国側は、自国の関与について否定しているが、ワシントン・ポスト紙(電子版)は、複数の米政府当局者の話として「中国政府傘下のハッカーたちによる侵入」と伝えている。前出の文春の報道によると、日本年金機構を狙った解放軍系組織は、米人事管理局の流出事件でも「第1容疑者の中に含まれると断定された」という。

 サイバー問題は「米中間の最も深刻な懸案の1つ」(米国務省高官)と位置づけられており、両国の対立は深まるばかりだ。オバマ政権は、一連のサイバー攻撃を中国によるスパイ活動の一環とみており、ワシントンで6月に開かれた閣僚級の「米中戦略・経済対話」でも、両国はサイバー問題について主張をぶつけ合った。

 こうした事態を踏まえ、米国は日本との協力態勢の整備を急いでいる。今月9日には、日本政府との間でサイバー空間をめぐる課題を討議する対話を近く開くことを明らかにした。

 日米両政府は2013年から「日米サイバー対話」を定期的に開催しており今回で3回目。これまでも、サイバー攻撃は安全保障上の脅威だとの認識を共有し、防護策を議論してきたが、今回は新たに日本年金機構の事件も議題となりそうだ。

 菅沼氏は「サイバー攻撃は、まさに『現代の戦争』だ。日米が協力し、情報共有などを進めていかなければならない。協力関係をアピールすることは、中国に対する牽制にもなる」と語っている。

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