全ブログの続きです。
沖縄では全部ではもちろんないが家庭崩壊、学校崩壊、雇用崩壊が起きている。
自分たちの不幸の原因を日本政府や米軍などに転嫁しなければよいが。
貧しい情報弱者はサヨクの情報操作に流されるのは目に見えている。
沖縄では全部ではもちろんないが家庭崩壊、学校崩壊、雇用崩壊が起きている。
自分たちの不幸の原因を日本政府や米軍などに転嫁しなければよいが。
貧しい情報弱者はサヨクの情報操作に流されるのは目に見えている。
「沖縄の貧困」は学歴社会と暴力が生み出した
平均年収は全国最下位、雇用は崩壊状態
「子供は4歳の娘、虐待をやめられない。普通に殴ったり、蹴ったりしちゃう。まずいと思うけど、どうにもならない。やめられないです。放置して遊びに行くのは日常だし、ヒドイときは髪の毛引っ張って、引きずり回してひっぱたくとか。子供は、ギャーって泣くよね。でもね、どうしてもかわいそうに見えないの。虐待しちゃうときは、“こいつがいるから、どうしてこいつのために、私が……”って思考回路になっているからさ」
出勤前に取材に応じてくれたキャバクラに勤める里見千穂さん(23歳、仮名)は、顔色ひとつ変えずに娘に対する虐待を語る。彼女は4歳の娘と暮らすシングルマザー。学歴は高校中退、18歳で出来ちゃった結婚し、3年前に無職で収入のない旦那と離婚している。
沖縄県那覇市松山は、沖縄県最大の歓楽街だ。300メートル四方の一角にキャバクラや風俗店が密集する。ゆいモノレール・美栄橋駅を降り、国道58号を越えるとネオンの明かりが見える。路上から男性キャッチが続々と現れ、ひっきりなしに声をかけられる。沖縄の夜は長い、連日朝方までネオンが消えることはない。
平均年収は全国最下位、雇用は崩壊状態
沖縄県の経済は、本当に厳しい。県民の平均年収は333万円(平成25年賃金構造基本統計調査)、平均月収は23.75万円(勤続9年、平均40.5歳)で、全国最下位であり、第1位の東京都580万円と比べると57%強の収入しかない。戦後復興や高度経済成長から切り離され、基地や公共事業への依存から抜けだせないことが理由と言われる。
全国最下位なのは、年収だけではない。県内の非正規雇用者は44.5%(沖縄県庁ホーページ)、離職率は極めて高く、大卒3年内離職49%、高卒3年以内になると57.4%と、雇用は崩壊状態だ。さらに最低賃金は693円と全国最低の一方で、公務員の平均月収は40万7000円と高く、公民の深刻な格差も抱えている。沖縄の子供たちは公務員にあこがれ、公務員になることを夢見る。シングルマザーも多い。離婚率は人口1000人に対して2.59組が離婚(2013年)と断トツの全国1位で、児童の半数以上がシングル家庭という小学校も存在する。沖縄には、本土都市部住民の想像を超える貧困が蔓延しているのだ。
「沖縄はヤンキーだらけ。最初からバカは少なくて、中学生になって徐々に狂う。家庭と中学校、それと周囲の環境だよね。ヤンキーグループに入ると、だんだんと環境が悪くなって昼夜逆転して普通の中学生じゃなくなる。それと、ヤンキーの子たちは貧困家庭が多い。親がキャバ嬢とか風俗嬢で、夜に家にいなくて監視がないみたいな。友達にシングルの風俗嬢は何人もいるし、友達の親が覚醒剤で逮捕されるとか、家賃滞納で一家がホームレスになるとか、中学生からキャバとか風俗で働く子はたくさんいたよ。沖縄では普通のこと」
長年、県全体に雇用がない中で、格差と貧困が蔓延、貧困家庭の生活環境は荒れている。観光以外の大きな産業がないと、負の連鎖が起こる。大人の社会は権力に偏った学歴社会、階級社会で、子供の世界は親が貧困層の子供たちによる暴力に支配されている。中学生になると、ヤンキー→スポーツマン→親が公務員の優等生→普通の子→内向的な子と、スクールカーストが形成されて、派手な髪型・スタイルで暴力を背景に持つヤンキーが、子供の世界の権力を握る。
「成人式とか毎年報道されているでしょ。沖縄の子たちは、中学生からあんな感じ。ヤンキーはモテるし、私もそういう人しか相手にしなかった。なぜかというと、学校のヒエラルキーのトップなの。学校とか地元で偉そうにしているし、子供の中では圧倒的な権力がある。中学校で先生を殴るとか、普通。先生に注意されたから蹴ったり、殴ったりとか」
彼女は地元の高校に進学したが、中学時代の友達はほとんど進学しなかった。地元の仲間は未成年を雇用するキャバクラや水商売、男は建築業、とび職などの仕事に就く。そして、高校に進学しない者たちは夜通し遊ぶのが日常だった。
暴力の連鎖が「離婚」と「離職」を生む
「私は、彼氏のDVで高校辞めた。彼氏は無職のヤンキーで、学校に行っていることを責められて、日常的に暴力を振るわれた。ちょっと機嫌損ねると、パンチが飛んでくる。沖縄のヤンキー男は暴力を使って偉そうにするから、いつまでも俺様みたいな性格。恋人とか配偶者に対して虐待は普通なの。たぶん、普通の人のほうが少ない。特に貧困でネグレクト家庭に育った男は、DV体質になりやすくて、それが女性にも影響する。だから、離婚が多いでしょ。会社も同じ、公共事業頼りのもともとヤンキーの中小企業の社長が部下とか後輩を虐待するから仕事が続かない。それが離職率高い理由。本当の負の連鎖、どうしようもない」
高校は1年で中退、17歳で松山のキャバクラに勤めた。未成年を雇用する店はすぐに中卒、高校中退のヤンキーグループに情報が伝わる。友達の紹介で面接して、その日から髪の毛を飾って出勤した。
「虐待をやめられない今も苦しいけど、本当に貧困で苦しんだのは18歳で結婚した後。妊娠中が特に悲惨だったよ」
17歳でキャバクラ嬢になった里見さんは、18歳で妊娠。相手の暴力団員と出来ちゃった婚をする。
「結婚は本当に失敗。ヤンキーばかりの環境だから、暴力に対するハードルが低いの。だからヤクザも身近なの。そうじゃないと、貧乏ヤクザと結婚しないよ。学歴がない人間は、狭い地元のコミュニティがすべてになるし、ヤクザはヒエラルキーのトップ。だから、当時は相手がヤクザでラッキーくらいに思っていた。18歳だと女の先輩に呼びだされるとかあって、暴力振るわれる。でもね、ヤクザと結婚した瞬間、面倒くさいことがいっさいなくなる。平和になる。狭い世界で自由を手に入れられる代償として、社会的な信用を失ったわけ。18歳じゃ社会のことなんてなにもわからないからさ」
出来ちゃった婚をして、夫婦の住まいとして実家近くにある祖母の持ち家を無償で借りた。家賃がかからない恵まれた環境だったが、結婚すぐに暗雲が立った。
「普通の家庭を築きたかったから、妊娠してキャバは辞めた。そのときはちゃんとした家庭を築きたいみたいなことは思っていたけど、暴力は得意だけど、旦那はまったく稼げなかった。暴力的なのは、今は本当に需要がないみたい。今のヤクザは頭を使えないとカネ稼げないから、上納金も払えないみたいな。なんとかしてほしいって旦那を支えたけど、全然ダメだった」
ライフラインがすべて止まった
夫婦2人は無職になった。祖父と祖母からもらう1000円、2000円のお小遣いしか収入がない。光熱費は払えない、最終的には自宅のライフラインがすべて止まった。
「無収入が半年くらい続いて、水も止まった。貧乏はキツイ、頭おかしくなるよ。ライフラインが全部止まると、生きている感覚がなくなる。意気消沈する。水が止まるとお風呂とかトイレとか、本当に根本から生活に困るの。最初は近くの公園から水をくんでくるわけ。最初は水を運べても、だんだん気力がなくなる。電気が2カ月、水道は4カ月で止まった。マジで、払えなかった。そういう状態だと2000円があったら、光熱費払うより、食べ物買う。極限だよね。そうなると、旦那のダメさに腹立つのではなくて、ツライ思いをしているからもっと一緒にいようみたいな感覚になる。正常な判断ができなくなった」
近隣に家族がいたので飢餓状態は免れたが、水が出ない家で無収入の生活を続けながら出産した。長女が生まれた。本当に「かわいいな」と思った。
「子供を産んだ瞬間に現実が見えた。産んだ後、夫が事件を起こして裁判があったの。私は反社会勢力の人と婚姻関係にあるから、自分も同じに見られるってことに気づいた。最悪と思った。狭いコミュニティのヒエラルキーより、社会的な排除のほうが大きい。19歳のとき、そんな当たり前のことに気づいた。心からまずいと思った。そこで初めて夫と離婚しなきゃって思った」
離婚した。無収入の夫は離婚を納得して自分の実家に戻り、出産1カ月後にキャバクラに戻ってライフラインを復活させた。長女と2人暮らしが始まる。
「自分のツライことが、全部子供に向くわけ。だから虐待しちゃう。今もヒドイけど、2年くらい前は本当にヒドかった。子供はアザだらけだよ。どうして虐待かって? 瞬間的にそうなる。表情が夫に似ている瞬間とか。こいつにカネがかかる、離婚してもたかってくる夫にもカネがかかる、夜の仕事と子育てで自分のことは何もできない。なんだ、お前も夫と一緒かよって、思考回路。本当は夫に暴力を振るいたいけど、やり返されるから子供にいく。本当に最悪」
虐待に悩むようになった。子供と一緒にいると、どうしても拳を振り上げる瞬間がある。そして、地元の仲間や男に誘われて外泊をするようになった。子供は置いていく。子供ひとり、部屋に押し込めて鍵をかけて、遊びに行く。2010年7月、風俗嬢の21歳の母親がネグレクトで2人の子供を餓死させた大阪2児虐待事件と同じ状況だ。
「子供なんていなければいいって、あの人の気持ちはメッチャわかるよ。殺意はないと思う。子供に生きていてほしかったけど、途中でどんどん現実逃避して、最悪の結果になったんだろうね。あのね、現実逃避すると、徐々に子供を放置する時間が長くなるの。最初は2時間だけと思っても、2時間大丈夫だった、じゃあ次は3時間ってなる。結局、それが一晩になるわけ。ネグレクトって段階がある。私がラッキーだったのは、自分が一晩空けるようになってからあの事件を知ったこと。彼女のほうが先に事件になってくれたから、自分はこのままだとまずいって思えた」
キッズ携帯に児童相談所の番号を登録
23歳、母娘の2人暮らしは4年目に突入した。母親や祖母に協力してもらって週5回は働き、16万~17万円は稼がないと最低限の生活はできない。子供を実家に預けて、出勤する。母親と祖母は文句を言いながらも、子供を預かってくれる。周りに助けてくれる家族がいる、シングルマザーの中では恵まれている環境だが、それでも仕事と育児に追われる生活はツライという。
「キッズ携帯に実家と娘のことを知る友達、それと児童相談所の番号を登録して、お母さんが1日とか2日帰ってこなかったら電話してって言ってある。いつ頭がおかしくなるか、わからないから。まずいなと思っても外泊はやめられないし、歯止めが利かない。自分の時間がないと、本当に壊れる。子供とずっと一緒にいたら、結局、殴っちゃうもん。それは治らない。殴りたくないから、今でも遊びに出掛ける。殴るより、遊びに行ったほうがいいって現実逃避だよ」
4歳の娘の写真を見せてもらった。満面の笑顔でカメラを見つめている。本当にかわいい女の子だった。里見さんはこれからヘアメークをしてキャバクラに出勤をする。
「キャバで一緒の大学生がいるけど、彼女たちには卒業がある。でも、自分には卒業がない…って思うと、本当に落ち込むよね」
最後に大きなため息をついて、里見さんの話は終わった。貧困が蔓延する沖縄でシングルマザーになった彼女は、ずっと松山に出勤するしか選択肢がない。