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Y社という不動産会社が弁護士事務所と結託して主催している“債務整理”をテーマにした不動産投資セミナーに参加したのが、そもそもの始まりでした。『ローンを払わなくてもよくなったら、いいと思いませんか?』な

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不動産ローンを組んでいる小金持ちの皆さんは気をつけて下さい。

小金持ちを狙う“個人再生詐欺”の手口

geralt / CC0 Public Domain
geralt / CC0 Public Domain
 被害額は559.4億円と初めて500億円を超え、過去最悪を更新――。先月29日に警察庁が発表した、2014年の「特殊詐欺」の被害額だ。

 特殊詐欺とは、オレオレ詐欺、未公開株詐欺、還付金詐欺などの総称だ。特に、65歳以上の高齢者が狙われやすく、被害件数の78.8%を占めている、と報告されている。

 だが、詐欺の被害回復案件を数多く手がける弁護士に言わせれば、これは「氷山の一角」。年々その手口は巧妙化し、事件化していない詐欺が数多くあるというのだ。その手口の1つが「個人再生詐欺」である。

「当社のお客さんであるAさんが、Y社という不動産会社が弁護士事務所と結託して主催している“債務整理”をテーマにした不動産投資セミナーに参加したのが、そもそもの始まりでした。『ローンを払わなくてもよくなったら、いいと思いませんか?』なんて言いながら、“個人再生”のノウハウを説いたようです」

 こう話すのは、全国で約1000戸の物件管理を手掛ける不動産会社の経営者。昨年、同社の顧客で、東北地方に3棟の賃貸マンションを保有するAさんが“個人再生詐欺”とでもいうべき詐欺に遭ったというのだ。

「Aさんは3棟ある賃貸マンションのうち、1棟だけ売却して手元に現金を置いておきたいと考えていたようです。それを知ったY社は『3年もすれば、あなたの物件の価値はなくなる』『今、売却したとしても1000万円の残債(借金)が残る』『当社に任せてもらえれば、その残債は200万円まで圧縮することができる』とデタラメなことを吹き込んで、Aさんから委任契約を取り付けてしまったんです。その受任者は結託している弁護士事務所。さらに、Y社の関係者が代表を務めるU社とのアドバイザリー契約も結ばされました」

 少々、複雑なので整理しておこう。まず、「個人再生」というのは、2001年にスタートした比較的新しい債務整理のための制度だ。住宅ローンを除いた借金の総額が5000万円以下で、将来にわたって一定の収入が見込まれるとみなされた場合、マイホームや車などの資産を維持したまま借金が圧縮できてしまうのだ。

 圧縮できる割合はその人の収入に応じて異なるが、最大で80%。つまり、借金を5分の1にできてしまうのだが、いいことばかりではない。1つには、圧縮された借金は3~5年で完済しなくてはない。さらに、自己破産した場合と同様、ブラックリストに入れられるため、向こう5年以上は借り入れができなくなる。

 このような個人再生の制度をゆがめて、Y社はAさんに「簡単に借金を圧縮できる方法がある」と口説き、結託した弁護士事務所と個人再生に関する委任契約を、さらにY社と繋がりの深いU社とのアドバイザリー契約を結ばせたというのだ。

「ここでキーになってくるのはU社。このU社が集金機能を担うからです。まず、U社はAさんに新たな銀行口座を作らせました。そのうえで、すべての家賃収入がその新口座を通じて、U社に入るよう画策したのです」

 Aさんがずっと使っていた口座を(1)としよう。この口座(1)には毎月、Aさんの物件を管理している不動産会社が集金した家賃が振り込まれるようになっていた。そこから、ローン会社がAさんの月々の返済額を引き落としていた。

 だが、U社は「個人再生の手続き中にローン会社の引き落としが掛かってしまうと、手続きに支障が出る」という、これまたデタラメなことを並べ立てて、新口座(2)を作るよう説得。家賃が振り込まれる口座を(2)に変更し、常にローン会社から引き落としのかかる口座(1)は空っぽにしておくよう指示されたという。

「さらに口座(2)に振り込まれた家賃を、毎月U社の指定口座に振り込むよう指示されました。Aさんが保有する物件の家賃はいずれも9万円。それが6戸×3棟で、計54戸なので、月々の家賃収入は180万円にもなります。それが新口座(2)に入ったら、U社の口座に全額振り込む。そうすることによって、U社がローン会社への支払いを代行しながら、3棟のうちの1棟に関して売却の手続きを取ってくれるのだろう……とAさんは思っていたようです。ところが、この家賃収入はすべてU社のアドバイザリー報酬となっていた。もちろん、そんなことは契約書には書かれていません。業務報酬は毎月8万円だったんですから……」

 そんなことが判明したのは、契約から3か月ほど経ってからのこと。それも、Aさんよりも先に、もともとAさんの物件を管理していた不動産会社が気づいたのだった。

委任契約書「私のところではAさんから預かっている物件に関して、空室があったとしても一定の家賃を保証する“家賃保証”を付けていたのですが、あるとき急にその保証家賃に対してローン会社から差し押さえが入ったんです。そこで初めて、Aさんを取り込んだY社、U社の目論見がわかりました。つまり、彼らは最初からAさんが保有する物件を根こそぎ奪ってしまおうと考えていたんです。家賃を全部預かって、ローン会社への支払いを滞らせると、ローン会社は“期限利益の喪失”を理由に残債すべての一括返済を迫ります。普通に借金を返済できているのに、『個人再生したい』と言っても裁判所は認めてくれません。だから、債務不履行の状態に持ち込まないといけない。だから、新口座(2)をつくってワザと返済を滞らせたわけです。こうなると、Aさんは資産を売却して一括返済しなくてはなりません。そのときに、Y社が不当に安い価格で物件を買い取って転売益を稼ぐ。明らかにメチャクチャなやり方なのですが、委任契約を結んだ弁護士とU社がすべての窓口を担うので、Aさんのあずかり知らないところで話が進み、借金の総額は確かに大幅に圧縮できてしまうので、泣き寝入りしてしまう不動産オーナーが多いようです。そのあと、訴えようにも手元には資産も現金もなくなっていますからね……」

 幸い、Aさんのケースでは家賃保証を行っていた不動産会社がローン会社と話をつけて一括返済を免れたが、不当に高いアドバイザリー報酬をぶん取っていたU社はあれこれ理由をつけて、返済を遅らせている状態。現在、損害賠償請求の準備を進めているという。不動産オーナーはくれぐれもご用心を。


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