ヒラリーが勝てば中国に「日本の支配権」を売り渡されてしまうのか?
米大統領選がTPPに与える影響は?
高城剛さんの回答
著者:高城 剛
1964年生まれ。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。毎週2通に渡るメルマガは、注目ガジェットや海外移住のヒント、マクロビの始め方や読者の質問に懇切丁寧に答えるQ&Aコーナーなど「今知りたいこと」を網羅する。
昨年、日本政府は成長戦略の一環として労働関連法の改正案を閣議決定しました。「女性、非正規社員、高齢者がもっと働きやすい社会に」と言えば聞こえはいいですが、長時間働いても残業代などの手当が払われなくなるのではないかと危惧されており、さまざまな方面から非難の声が上がっています。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんは、政府は国民が幸せになれる手段を真剣に考えるべきだと強く非難し、独自の制度を提案しています。
<国勢調査>総人口1億2,711万47人、初の減少くっきり毎日新聞 2月26日(金)9時45分配信◇15年速報値 39道府県で人口減、福島県は過去最大高市早苗総務相は26日午前の閣議で、昨年10月に実施した2015年簡易国勢調査の速報値を報告した。昨年10月1日現在の外国人を含む日本の総人口は1億2,711万47人で、10年の前回調査から94万7,305人(0.74%)減り、1920(大正9)年の調査開始以来、初めて減少に転じた。
39道府県で人口が減少し、11年に東京電力福島第1原発事故が起きた福島県は、過去最大の11万5,458人減となった。(中略)前回調査から人口が増えたのは、「東京圏」の東京、神奈川、埼玉、千葉4都県と、沖縄、愛知、福岡、滋賀の各県。人口増加率は、出生率が高く死亡率が低い沖縄県が2.97%増でトップ。前回1位の東京都は2.69%増で2位だった。減少率が最も高かったのは秋田県で5.82%減。福島県の5.69%減、青森、高知両県の4.71%減が続いた。大阪府は0.30%減で、第2次世界大戦の影響で減った、47年の臨時国勢調査を除くと戦後初めて人口が減少した。福島県の減少率は、原発事故前の10年調査(2.98%減)からほぼ倍増した。東日本大震災の被害が大きかった岩手県(3.78%減)と宮城県(0.59%減)は、10年調査の減少率と同水準だった。
東京圏は5年前の前回調査比50万人増の3,612万人で、全体の4分の1以上を占める。市町村別の増加数を見ても、東京23区が全国で最も多い32万人。東京圏に含まれる川崎、さいたま、横浜の各政令市もトップ10に入り、人口を引き寄せている。
(時事通信2月26日)
というわけで、「人口増は、少子化問題解決で」が王道、正道です。「不可能だ!」という人も多いですが、世界をみわたせば、「出生率を劇的に増やした例」もあります。たとえば、私の住んでいるロシアです。1999年、ロシアの合計特殊出生率は、なんと1.17(!)だった。それが、2012年は1.7、2013年も1.7。死亡率の低下も手伝って、人口が「自然増」しはじめている。
<ロシアの出生率 記録更新>2015年6月19日 Sputnik日本ロシア保健省は、ロシアの2014年の出生率が、過去最高となったと発表した。2013年の出生率は、1990年代以降初めて死亡率を越えたが、2014年はさらによい結果が出た。自然増加数は3万3,600人で、死亡率も低下している。ロシアでは2014年、出生率が前年比0.8パーセント増となり、出生数は192万9,700人から194万7,300人となった。これは、新生ロシア史上、最高値だ。
そうすれば、国は、20年とか30年とかかけて、3人子供を産んだ家庭に代わって、ローンの返済をしていく。すると、「3人子供を産んだ一家庭」につき、国の月々の負担は、10万円ぐらいなものでしょう(計算していませんが)。子供1人当たりの支援額は、月3万3,333円となります。これですと、かかわる人みんなにメリットがあります。
日本の結婚式は、段取りにも軍隊並みの緻密さが要求される。特にタイミングが重要だ。花嫁はお色直しをしなければならないし、花婿の会社の上司からのお祝いのスピーチもある。式が終わると、次のカップルが準備を始めるために待ち構えている。日本の自動車産業は正確さと効率性で世界に知られているが、ウエディング産業も同じように称賛されてしかるべきだろう。
甥の結婚式はきっと、わが一族の典型的な式になるだろう。誰かが指輪を忘れたり迷子になる人がいたり、どこかでけんかが始まったり。子供は大騒ぎして、何も時間どおりには始まらない。反抗的なティーンエージャーは黒い口紅に破れたTシャツ姿で出席し、若者たちは飲み過ぎで二日酔いになる。こうしたトラブルの数々は、新婚カップルがその後の結婚生活で直面するものかもしれない。
裏を返せば、だからこそ日本の結婚式を耐え難いと感じるのだ。そこでは、あり得ないほど完璧な結婚生活が映し出される。髪形も服装も笑顔もタイミングも、すべてが完璧。日本の産業に生かされてきた完璧主義と細部へのこだわりが、人間関係という最も不合理で非効率的な領域にも求められているようだ。誰もが完璧さを期待し、自分も完璧にならなければいけないというプレッシャーにさらされている。
99年に彼女が亡くなったとき読売新聞には、彼女が家庭教師を務めた4年間で天皇陛下は大きな影響を受けたとする記事が載った。記事によれば、天皇陛下が伝統に反して子供たちを自らの手で育てると決めたことや、家柄に関係なく他者への尊重を重んじるようになったのは、彼女の影響によるものだったという。
今週のコラムニスト:レジス・アルノー
〔6月3日号掲載〕
日本政府は「外国人研修制度」を拡大することで労働力減少の穴埋めをしたい考えのようだ。企業などが外国から労働者を受け入れ、現場で実践的な技能を習得させることを国が支援する技能実習制度は、93年に導入された。そもそもは滞在中に日本の技術を伝え、自国で活用してもらうという国際貢献が目的だった。
しかし現実には、この制度は日本企業が立場の弱い労働者を獲得する手段に悪用されている。「(この制度を利用して来日した)外国人労働者は転職ができない。だから雇用主の言いなりになってしまう」と、ある弁護士は説明する。日本はこの不当な制度を改善し、外国人労働者にも日本人と同じ権利を与えるべきだ。そうすれば優秀な労働者が日本に残り、日本経済に貢献することにもつながる。
だが、日本政府の考えは違うようだ。4月の経済財政諮問会議・産業競争力会議で、田村憲久厚生労働相は育児・家事支援分野での外国人労働者の活用について、こう発言した。「子供たちの健全育成の観点から、人格形成という時期であることから、わが国の言語や文化を十分に理解されていない外国人の方々が携わるのは問題があるのではないか」
早い時期に外国人と触れ合う機会を持つのは、子供にとっていいことではないのか。富裕層の中には、子供のためにあえて外国人の家政婦を雇う人もいる。人口720万人の香港では約30万人の外国人家政婦が働いているが、1169人しか外国人家政婦がいない日本に比べて育児環境が劣悪だと言えるだろうか。
99年に彼女が亡くなったとき読売新聞には、彼女が家庭教師を務めた4年間で天皇陛下は大きな影響を受けたとする記事が載った。記事によれば、天皇陛下が伝統に反して子供たちを自らの手で育てると決めたことや、家柄に関係なく他者への尊重を重んじるようになったのは、彼女の影響によるものだったという。
【ベトナム】横暴中国船対策、中国に海洋法を守らせるのが一番の課題
配信日時:2014年8月2日 22時17分 [ ID:761]
違法操業の中国漁船、アルゼンチンが撃沈ーベトナムは拍手でアルゼンチンを支持
配信日時:2016年3月16日 17時22分 [ ID:3231]
中国クオリティに唖然! 高速鉄道計画は失敗かーインドネシア
配信日時:2016年2月9日 15時20分 [ ID:3064]
ヘイトスピーチ(憎悪表現)を法で規制しようという動きは、随分前から大きな流れとしてはあるが、国レベルではいまだ弱含みである。そんな中、さる1月15日、全国で初めてとなるヘイトスピーチ抑止条例が大阪市議会で可決・成立し、吉村同市長は「(施行は)今年夏頃を目処に」とする趣旨の発言をして大きなニュースになった。
今後、その運用が極めて注目される同条例は、橋下前市長時代に企図・準備されたもので、まさに橋下氏の「置き土産」だ。
ヘイトスピーチにより、主にその槍玉にあげられる在日コリアンへの誹謗中傷について、それがいかに彼ら(彼女ら)に対して心の傷を与えるのか―、という個別事例は、多くの「カウンター」と呼ばれる活動家やライター、或いはその文脈の中で取り上げられてきた。「チョンコ出て行け!」「チョンをガス室へ!」などという「デモ」や動画を見て、その当事者である在日コリアンが心中穏やかではないのは察するに余りある。
2014年8月、スイスで開かれた国連人種差別撤廃委員会は、日本における状況を審査し、日本に於けるヘイトスピーチを問題視し、この問題に対する法規制を迫った。この状況は、まさに日本が西欧から「人権意識三等国」であると指摘されるに等しい「国辱」ではないだろうか。
ヘイトスピーチにより、日本国内のマイノリティへの精神的被害が殊更強調される中、「最も毀損されるのは日本の国益」という視点が、やや弱い気がする。なぜなら「国益」を声高に主張する日本の保守派に、この問題(ヘイトスピーチ)に対する問題意識が極めて鈍いからだ。
ジャーナリストの安田浩一氏は、その著書『ヘイトスピーチ 「愛国者」たちの憎悪と暴力』(文春新書)の中で、
出典:『ヘイトスピーチ 「愛国者」たちの憎悪と暴力』安田浩一、文春新書、P.31、2015年、括弧内筆者あの人たち(ヘイトスピーチを行う『行動する保守」』などの面々)は愛国者を気取っているけれど、むしろ国を冒涜しているとしか思えない。口汚く罵倒することが愛国心だと信じているならば、日本にとっても大きな迷惑ですよ
と記述しているが、これは安田氏の地の文ではなく、新右翼団体「一水会」顧問の鈴木邦男氏のコメントの引用である。無論「邪推」を承知でいうのだが、リベラル派は「国益」とか「国威」という言葉にいまだアレルギーを持っているからこそ、この発言を地の文ではなく他者のコメントとして使用したとも言える。「国益」を全面に押し出したヘイトスピーチ撲滅論には抵抗があるように感じるのである。
こう考えると、「国益」の視点で考えるヘイトスピーチ撲滅論を担う中心は、「素直な筋論」としてはこの国の保守派が相応しいだろう。
普段「国益」を声高に叫ぶ保守系言論人こそ、この日本の国威・国益を毀損するヘイトスピーチ問題について殊更敏感になるべきだし、なければならない。が、彼らはほとんどが微温的にヘイトスピーチの法規制に難色を示し、あるいはヘイトスピーチを行う過激な行動団体に対して「黙認」の態度を貫いている。
この日本の保守系言論人の態度こそ、ヘイトスピーチの前衛であるネット右翼(ネット保守ともいう。ここでは便宜上、より一般的なネット右翼と呼ぶ)との相互癒着の象徴だ。
この構造を解明せずして、ヘイトスピーチの撲滅などありえない。
ヘイトスピーチを行うネット右翼の多くは、5分や、せいぜい20分などといった短いセンテンスのネット動画をその理論の支柱としている。その理論的支柱は、所謂『保守系言論人』と呼ばれる保守系文化人や知識人のSNSでの発言、ブログや動画での発信、そして著作物の「ヘッドライン」である。
例えばある保守系言論人Aが『福沢諭吉の脱亜論』をテーマとした本を書く。あるいは保守系論壇雑誌への寄稿でも良い。その本や原稿の中には「朝鮮人を殺せ!叩きだせ!」等という過激な煽り文句は一切出てこない。が、ネット右翼はその「タイトルと目次」のみを読んで、「嘘つき朝鮮人は半島に帰れ」などというヘイトスピーチの理論的根拠としている。
福沢の脱亜論は、福沢が物心共に支援した李氏朝鮮末期の独立運動家・金玉均(1851-1894)への期待への反動としての失望が具現化されたもので、ネット右翼が唱える「特亜(特定アジア)撲滅」などという単純なものではない。
にも拘らず、ネット右翼が唱えるヘイトスピーチは、そういった保守系言論人の著作の内容などどうでもよく、ただ扇情的な著作や原稿の「タイトルと目次」、つまりヘッドラインに寄生することで発生する。
そして、そういった保守系言論人の著作を斜め読みしたブログや、YouTubeのお粗末な動画の中で開陳されることになり、これが拡散されていく。これを私は、『ヘッドライン寄生』と名づけている(『ヘッドライン寄生』の詳細は、拙著『ネット右翼の終わり』晶文社、2015年。或いはヤフーニュース個人2015年4月の小生記事『ネットのデマはなぜ無くならないのか?「8.6秒バズーカー」「翁長知事の娘」から考えるデマと寄生の関係』を参照のこと)。
近年、「ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会」が結成され、大きな話題になった。確かにヘイトを全面に押し出すかつて老舗とされた中小出版社の問題は指摘されているが、それとてネットの後追いの感は否めず、ましてそれ以外の版元から出た、一時期「嫌韓本」として知られた書籍の多くは、実際には「嫌韓本」というよりは「知韓本」である。
大半は氏が韓国駐在時代に見聞した「韓国あるある与太話・体験記」の類として、クスリと笑えるものも多いのだが、ネット右翼はこの本を読まずに「呆韓」とか「悪韓」などという扇情的なタイトル、或いは過激な帯文のみに「寄生」して、街頭でヘイトスピーチを展開するのである。
これがヘイトスピーチを生み出す根幹だ。前出の安田浩一氏は、『ヘイトスピーチ』前掲書の中で、在特会(在日特権を許さない市民の会)の前会長である桜井誠氏を、
出典:『前掲書』P.39在特会の生みの親であり、同時にネット右翼の理論的指導者として、一部から熱狂的な支持を集めている。
として紹介しているが、在特会に代表される「行動する保守」の筆頭とみなされる桜井氏は、理論的指導者などではない。なぜなら彼らの理論とは、彼らより上位の、保守系言論人の著作や論考のヘッドラインに寄生しているからだ。よって桜井氏自身はネット右翼による「ヘッドライン寄生」の先鋭的当事者、つまり被寄生者ではなく寄生する側にすぎないのである。
このような保守系言論人と、インターネットの世界から特に2002年の日韓共催大会を契機として、保守系言論人の出自(冷戦時代の反共保守)とは全く異なる形成過程をたどるネット右翼との「蜜月」は、実際にはネット右翼による書籍の購買力はそれほど多くはないにせよ、少なからぬ保守系言論人の書籍の売上や知名度、ネット動画の再生数に貢献する。
一方のネット右翼は「知識人が言っているのだから間違いはない(実際には言っていないことすらあるが)」という、理論体系の「お墨付き」と承認欲求が満たされるという「相互癒着」関係を産んだ。
だからこそ、国威・国益毀損の重大問題である「ヘイトスピーチの法規制」に対し、保守系言論人は一様に否定的か、あるいはだんまりを決め込んでいる。保守系言論人は「国益」を叫ぶ一方、その「国益」を毀損しかねないヘイトスピーチ問題や法規制に対しては、「自らの潜在的顧客が減少したり、ネット上で裏切り者と名指しされること」を恐れて、少数を除いて一様に口をつぐんでいる。
それは在特会に対する保守系言論人の反応の冷淡さをみれば分かるだろう。「在特会ってなんですか」という政治家のコメントほどではないにせよ、「特に興味が無い」「やり方はいけないとは思うが、言っている事自体は正しい」「あまり良く知らないのでコメントできない」「私は参加したいとは思わないが、まあ良いのではないか」などという曖昧な態度に終始している。
興味が無い、よく知らない、というのは嘘だ。在特会に代表される「ヘイトスピーチの前衛」を批判すると自らの本の売上やネット上での評判が炎上という形で失墜する、と恐れて、一様に口をつぐんでいるのである。つまり「国益」よりも「私益」を優先しているのである。何たる体たらくだろうか。
ヘイトスピーチを法規制しよう、という話題が盛り上がり、東京や大阪での「日韓断交デモ」などが批判的な文脈の中で話題になるたびに、ネット右翼たちは、必ず、以下のように反論する。
―日本人が韓国人をヘイトする以前に、韓国人が日本人をヘイトしている
これは、ネット右翼が自らのヘイトスピーチを正当化させる言説の中で、必ず登場する決まり文句だ。つまり、韓国人が先に日本人を呪詛してきたから、それに対抗してやっているのであって、よって韓国こそが先にヘイトを仕掛けたことへの自衛手段だ、というのである。私はこれをネット右翼による「韓国先制攻撃論」と名づけている。
しかし、この理屈には一理ある。戦後、東西対立が激化する中で「東アジアの反共国家群」の一員として日韓連帯があったのは周知のとおりである。日韓基本条約締結(1965年)を転換点として、日本の保守層と韓国政権は、「反共」という目的で概ね一致した。
冷戦時代、むしろ左派の日本共産党こそが韓国を「朴正熙はアメリカの傀儡であり、極東におけるアメリカ帝国主義の尖兵」などと非難し、保守派は「韓国こそは、朝鮮半島唯一の合法政権であり極東における自由と民主主義の砦」と連帯意識があった。
が、冷戦が終わると韓国は「反共」の政策を転換し、「反共の分断国家」として緊密な関係にあった台湾と断交して中国を承認した。韓国政府の対日姿勢も従前に増して、露骨なものになった。韓国が実行支配する「竹島」は李承晩時代に「占領」されたものの、大々的に地上構造物や接岸施設を増設し始めたのは概ね冷戦終結後の90年代以降である。
冷戦終結後、韓国のナショナリズムは、「反共」から「反日」へと急速に舵を切り始めた(或いは「反米」も)。朝鮮統治時代の「懐かしさ」を知る世代が社会から引退し、「親北」が色濃い政権が「日本統治時代の歴史の見直し」に関する委員会を立ち上げたり、関連する立法を行う。
近年政治問題になっている日本大使館前の慰安婦像も、「反共」時代の韓国では考えられなかった「反日」ナショナリズムの帰結といえる(詳細は、拙著『知られざる台湾の反韓』PHP研究所、2014年。或いは『もう無韓心でいい』ワック、2014年)。
ネット右翼がことさら問題視するのは、ほぼすべてこの冷戦終結後の韓国ナショナリズムの沸騰についての事象である。繰り返すように、「韓国が先」という彼らの理屈には一理ある。
しかし罪深いのは、「反共」時代の日韓の蜜月を知っているはずの日本の保守系言論人の多くが、この時代の日韓についてだんまりを決め込んでいる、ということだ。現在の日本の保守系言論人の多くは、韓国への愛憎を基盤とした複雑な感情を持っている。
日本統治時代を原体験として記憶する世代がまだ社会の中心にいた1970年、80年代に韓国を訪問し、現地の老人や村民から日本語で飲めや歌えの大歓待を受けた、などという美談は、「反共」時代を肌で経験した少なくない保守系言論人の中に存在する。
しかし彼らは、一様にそれらの体験を封印して、「反日」に転換して以降の韓国のナショナリズムの欠点ばかりをあげつらう。理由は「韓国での美談などを紹介すると、ネット右翼に攻撃され、本の売上や動画の再生回数が落ちる」ことを恐れているからだ。
次世代に体験を継承するべき保守系言論人が、一様に口をつぐみ、ネット右翼に耳障りの良い韓国攻撃のヘッドラインという「元ネタ」を提供し続けている。「韓国先制攻撃論」には応分の理解を示すとして、そこに歴史的経緯の説明を付着すれば、ネット右翼の攻撃もまたより温和なものに導かれるかもしれなかった。
2012年に閣議決定した「観光立国推進基本計画」は、「平成28年までに訪日外国人者数を1800万人にする」としたが、既に平成27年(2015年)の段階で訪日外国人数は1973万7千人と、目標を軽く達成した。
2020年東京五輪が控え、ますます訪日外国人が増加すると予想される中で、街頭やネットでのヘイトスピーチが日本の国威やイメージに与える悪影響は計り知れないのである。
そして何より、かつて日本は有色人種唯一の列強として、欧米に伍する大国を形成し、白人社会にびまんする有色人種への偏見意識に異議を唱えた、という歴史の意義を振り返らなければならない。
米ヒューストン大学教授の歴史学者ジェラルド・ホーン氏は、第一次大戦後のパリ講和会議の際、日本が中心となって提唱した人種差別撤廃に関する条項を、次のように評価する。
出典:『人種戦争―レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン著、藤田裕行訳、加瀬英明監修、祥伝社、P.65、2015年日本がパリ講和会議で人種差別を撤廃することを国際連盟規約に盛り込むことを提案した時に、アメリカでなく、大英帝国、特にオーストラリアが強く反発して、反対した。日本では、「多くの団体が、パリ会議を人種差別の撤廃のために活用するべきだと訴えて、人種平等の運動を展開した。それは日本が中国と大義を共有できるという利点を有していた」からだった。日本では人種差別反対運動は全国民の願いであり、上からの世論操作によるものではなかった。
もちろん、この日本の「人種平等」「アジアの連帯」などという理想は、後に歪んだアジア主義として日本の大陸侵攻や日米戦争時の「南進」を正当化させる方便として使われる事となったのは周知だが、それでも、かつて西欧に対し堂々と公の場で「人種差別はNO!」と言った日本が、今やその西欧から逆に説教を受けているという現状は、まさしく「日の丸が泣いている」の表現(安田氏前掲書より鈴木邦男氏のコメント)が適当だ。
保守派はもっとヘイトスピーチに怒るべきだ。ヘイトスピーチを「言論の自由」などと妄想を言って否定しない保守は、保守でもなく愛国者でもない。
1982年北海道札幌市生まれ。著述家。NPO法人江映理事長。立命館大学文学部史学科卒。TOKYO FM「タイムライン」隔週火曜レギュラー他、テレビ出演など。主な著書に『ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか』(コア新書)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか 戦後70年幻想論』(イースト・プレス)、『ネット右翼の終わり』(晶文社)、『インターネットは永遠にリアル社会を超えられない(ディスカヴァー21)、『欲望のすすめ』(ベスト新書)、『若者は本当に右傾化しているのか』(アスペクト)、『ネット右翼の逆襲』(総和社)、『クールジャパンの嘘』(総和社)等多数。
2016-02-25 15:03
「年明けは、うち(自民党)の世論調査でダブルスコアに近い10ポイント以上離していたが、3月に入り47対42といった具合に3~5ポイント差にまで詰められた」(自民党選対幹部)
そして4月に入って、『北海道新聞』が行った世論調査によると、与野党が逆転したというのだ。
>自民党よ、おごるなかれ。▼大接戦「北海道5区補選」で無党派が動く!
▼争点は「社会保障」「女性子育て」「TPP」
▼「参院選1人区」水面下で進む野党共闘はなんと26選挙区
「北海道・京都」の補選のキーワードの一つは、「女性」だという。選挙結果はことによると「安倍1強」の今後を占う試金石になりそうだ。それだけではない。今夏、衆参同日選挙となるかどうかの分水嶺になる。その補選の“ウラ側”に気鋭のジャーナリストが迫った。
4月12日告示、24日投開票の衆議院北海道5区の補欠選挙の情勢がここにきて大きく変化している。当初は、「安倍1強」をバックに自民党が優位だったが、一部世論調査などではなんと与野党が逆転した。
「年明けは、うち(自民党)の世論調査でダブルスコアに近い10ポイント以上離していたが、3月に入り47対42といった具合に3~5ポイント差にまで詰められた」(自民党選対幹部)
そして4月に入って、『北海道新聞』が行った世論調査によると、与野党が逆転したというのだ。
「野党統一候補が、自民党候補を4ポイント強引き離しました。地域によってバラつきはありますが、全体としては堅調に伸びている。無党派層に至っては早くから野党がリードしてきました」(地元マスコミ幹部)
北海道5区補選(札幌市厚別区、石狩管内)は、自民党の町村信孝・元衆議院議長の死去に伴うもの。自民党公認は町村氏の娘婿で、元商社マンの和田義明氏(44)で公明党も推薦。対して、無所属の池田真紀氏(43)は介護・福祉の専門家。民進党から共産党までが組んだ野党統一候補であり、市民グループのバックアップも受けている。つまり、昨年の安保法制以来の“自公vs.野党統一”という構図が投影されているのだ。
この構図は今夏の参院選での1人区と同じだ。
「野党統一が本物かどうか、その結果が出るのが北海道補選だ。安倍首相にとって参院選の前哨戦となり、衆参同日選を断行するかどうかの判断材料になる」(自民党ベテラン議員)
なぜ池田氏陣営は勢いづいているのか。
最も大きな要因は、点が線になり、そして広がってきた「女性の怒り」という世論だ。前出の自民党ベテラン議員が言う。
「誰が仕組んだわけでもないのに、別々のいろんなことが信じられないようにつながって、気づいた時にはどうあがいても流れを変えられなくなってしまう」
「女性の怒り」の起点は昨年の安保法制。反対する若いお母さんたちが共感し合い“ママの会”などができた。
次に、年明けに発覚した自民党議員による妻の妊娠・出産中での「ゲス不倫」騒動。育休宣言をしていたことで「女性の味方ぶって、逆に女性をバカにしている」と怒りを買った。
そして、「保育園落ちた日本死ね!!!」の匿名ブログ問題だ。この問題を取り上げた旧民主党の山尾志桜里衆院議員(現・民進党政調会長)に対して、安倍首相は「匿名だから確かめようがない」などとあしらったことから、若い母親の怒りが広がった。
こうしたことが、補選に影響しているのだ。くしくも、野党統一候補として動き出した池田氏はシングルマザーとして、子育てと向き合ってきた当事者。「無党派を中心に女性政策が争点になり、野党統一の女性候補がそこにぴったりハマって急激に伸びた」(前出・自民党ベテラン議員)
今年1月から民進党(旧民主党)の馬淵澄夫・筆頭副幹事長が、現地選対に13週連続で入っている。実は馬淵氏は以前、選対委員長の際に池田氏の公募を審査した間柄だ。戦う相手は、選挙区の名門・町村氏の娘婿で強力。そこで馬淵氏は、池田氏に提案した。
それは、シングルマザーだった池田氏の壮絶な過去を包み隠さず語り、彼女の訴える子育てや福祉や介護の政策が、自らの経験に基づいたものであることを訴えようというものだった。
だが、池田氏は拒否。「話すのはイヤ」と号泣したが、馬淵氏は「あなたの福祉が本気だとわかってもらえる」と何度も話し合い、池田氏は自らの過去を語ることを決断したという。
3月21日、街頭に立った池田氏は初めて告白した。
「子ども時代は平和な家庭でなかった。社会は助けてくれなかった」
それによると、幼い頃から父親によるDVで母親や妹とともに暴力を受け、妹と2人で夜遅くまで立ち食いソバ屋の片隅にいたという。中学時代には父親から逃れて家族バラバラに。18歳で結婚し、2人の子どもに恵まれたが、2年後には夫が借金で蒸発。生活保護を受けながら子どもを育て、介護ヘルパーなどの資格を取得し、東京都板橋区職員に採用される。政治家を志したのは、ただただ福祉をやりたいから。こうした壮絶な生きざまがネットなどを中心に広がったというのだ。
では、今回の北海道補選の「争点」は何か。
「『北海道新聞』の世論調査によると、補選で重視する政策の第1位は経済ではなく、『年金、医療、介護などの社会保障』が断トツ。そして子育てなど女性政策が注目され、加えて環太平洋パートナーシップ協定(TPP)は、北海道では死活問題。安倍政権は何かといえば、これまでの経済実績を訴えていますが、結局、争点がズレているんです。社会保障であれば、当事者でもある池田氏の訴えのほうが有権者に響くのは当然のことです」(民進党幹部)
これらは「参院選にも直結する焦点であり争点。1強の安倍政権の地殻変動になるかもしれない」(前出・自民党ベテラン議員)。
一方の和田陣営。世論調査の「逆転情報」を重く受け止めて、従来の“町村票”をがっちり固めて組織選挙を徹底的に展開。官邸や党本部もテコ入れしている。
「首相は4月4日に茂木敏充・選対委員長から情勢報告を受け、北海道の財界関係者、知人などに盛んに電話を入れている」(自民党の北海道道議)
自民党は、安倍首相が17日に現地入りする方向で調整しているが、「今後の情勢を見て、形勢不利ならキャンセルもある。首相が入って負けると責任問題になる」と話す選対幹部もいる。
自民党幹部は「無党派に新たに食い込むのは無理。最後は組織力だが、厳しい戦いになる」と話す。
同じく4月24日には「ゲス不倫」騒動を起こした自民党の宮崎謙介氏の議員辞職に伴う京都3区の補選もある。自民党は候補擁立を断念。民進党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党、幸福実現党、無所属などから出馬する。
関西地区のマスコミの世論調査では、民進党候補をおおさか維新候補が追う展開だ。維新幹部の一人は、「自民党支持層が来れば勝てる」と話すが、関西のテレビ報道関係者は「橋下徹氏が抜けたのはやはり大きい。全体的な政党支持で、おおさか維新の支持は一定程度あるが、ひところの勢いはない」とも分析する。
ただ、誰が勝とうが、肝心なのは「候補を出さなかった時点で自民党は京都1敗、議席は1減する」ということだ。前出の自民党ベテラン議員は自戒する。
「執行部は北海道で頑張る、と言っているが、京都では1敗とカウントされる。かつて民主党政権末期にあらゆる選挙で候補を見送り、地方組織も弱体化して政権を失った。京都の不戦敗は、“蟻(あり)の一穴”になるかもしれない。執行部は危機意識が足りない」
補選の勝敗、とりわけ北海道5区は今夏のダブル選挙の指標となり、安倍首相の決断に直結するのは確かだ。首相側近の下村博文・総裁特別補佐が言う。
「負ければ、ダブル選の選択肢は難しくなる」
半面、憲法改正実現のために参議院で3分の2勢力を取ることが悲願の安倍首相だけに「北海道で敗北すれば、逆にダブル選挙をやって総力戦で一気に挽回するという、“破れかぶれ”の戦いに出るかもしれない」(野党幹部)との見方もある。もしそうなれば、もはや政権は「存亡の賭け」だ。
もっとも、安倍1強の地殻変動は補選だけではない。参議院選挙でも起きている。
勝敗を分けるとされる全国32の1人区で、野党は選挙協力して統一候補を出す調整を続けている。民進党の中には共産党と組むことにアレルギーもあったが、なんと32の選挙区のうち26で統一候補が実現する可能性が出てきているという。
野党選対幹部が明かす。
「すでに16の選挙区、たとえば青森、宮城、新潟、長野、熊本、沖縄などで候補者一本化が決まった。残りの岩手、大分など10の選挙区もほぼ決まる。最後の6の選挙区はギリギリまで詰める。一本化が決まった16の選挙区は、民進党の公認が一番多いが、利害がぶつかれば、『無所属』候補にして各党が推す形にする」
調整がうまくいっているのは、野党5党(現在は民主・維新が合流し4党)の幹事長・書記局長の信頼感だという。
「3月に5人で食事をしたが、その時は政局の注文も文句も一切なし。信頼感が醸成されたことの証明」
参加した野党幹事長の一人はそう話し、「枝野幸男幹事長(民進党)などは共産党とは組まないというイメージで報じられているが、水面下の候補者調整はきわめて現実的な判断をしている」(別の幹事長)という。
26の選挙区すべてで野党の勝利はないだろうが、過去の参院選の得票の野党票を単純に加えた計算では、七つで野党が上回る。
「安倍首相の参院選の勝敗ラインは過半数ではない。改憲のため、公明党やおおさか維新と合わせての3分の2がライン。七つ落としただけで改憲は遠のく」(前出・野党幹部)
安倍首相は「参院選は何でもアリ」(首相周辺)。だが、消費増税凍結や与党に有利とされるダブル選挙といったシナリオは、いま補選の現場で起きつつある地殻変動に対し、有効な手立てとなり得るか。何やら怪しい雲行きになってきた。
地元山口と今回の熊本への対応でこの差……(首相官邸HPより)
もしかして、安倍首相は今回の熊本大地震を必要以上に小さく見せたい理由でもあるのだろうか。一昨日、18日の衆院TPP特別委員会で、熊本大地震を受けて消費増税見送りの可能性を聞かれた安倍首相がこんな答弁をした。
ようするに、熊本大地震は「大震災級の事態」ではない、というのである。20日時点で死者48人、重軽傷者1000人以上、避難者19万人以上、全壊家屋は益城町だけでも750棟にもおよぶ。これのいったいどこが大震災ではないのか。被災地の人々の感情を考えると、あまりに無神経な発言と言っていいだろう。
激甚災害指定については、熊本県の蒲島郁夫知事が15日の段階で早期指定を求めていたが、安倍政権は現時点でも指定を行っていない。そして、そのことを国会で追及された安倍首相は、やはり18日の国会で、「事務的な数字を積み上げていかないと法律的にできない」と弁解した上、「(激甚災害指定が)今日、明日、明後日ということになったとしても災害支援には何のかかわりもないこと」と突き放すような発言をしている。
それは、2013年7月28日に発生した、山口県と島根県での豪雨災害のときのことだ。死者・行方不明者は4人、家屋被害は全壊49棟、半壊66棟におよび、安倍首相の地元・山口県も大きな被害を受けた。
実際、安倍首相自身の態度も今回とはまったく違うものだった。安倍首相は熊本大地震ではいまだ視察を見送っているが、このときの豪雨災害では、避難勧告が一部でまだ出ていた8月4日に現地を視察。山口県のJR山口線や県道萩津和野線の被災現場を視察した際、報道陣に対し、「早く復旧が進むよう全力を挙げる」と言い、被災地復旧のために交付税の繰り上げ交付、そして激甚災害指定をすると明言した上、こうはっきり語っている。
この態度は今回の「今日、明日、明後日ということになったとしても災害支援には何のかかわりもないこと」という発言と大違い。ようするに、安倍首相も菅官房長官も、首相の地元の問題となったら、「手続きが」などと面倒なことは一切言わず、閣議決定のないままに指定を明言。やり方を変えて、迅速に指定することまで口にする、サービスぶりを見せるのだ。
「総理大臣がわざわざ現地へ行かれるならば、ちょうどいい機会ですから、総量はなくても、見ればわかるんですよ」
「これが激甚災害でなければ、何を激甚災害というか」
その後、この台風12号は激甚災害指定を受けたが、これを二階議員はHPで、〈平野防災担当大臣に被害額が集まって来るのを待って激甚災害の指定をするのではなく、総理大臣も現地入りするのだから被害の大きさは見ればわかる、指定しない理由があれば説明してもらいたいと、一刻も早い迅速な対応を強く求めていた〉と自慢げに記述している。
両者のあまりに違う対応の差を見ていると、熊本県の被災地選出議員に安倍首相を動かせる自民党の有力議員がいないからなのか、という気さえしてくる。地元選出の議員の力で、激甚災害指定への姿勢が決まるなんてことはあってはならないのだが……。
(田部祥太)
国際調査報道ジャーナリスト連合が公開しているパナマ文書のウェブページより
ロシアのプーチン大統領の「金庫番」側近は総額20億ドル(約2200億円)。他にも、中国の習近平国家主席の親戚や英国のキャメロン首相、シリアのアサド大統領、ウクライナのポロシェンコ大統領、サウジアラビアのサルマン国王の関係者がタックスヘイブン(租税回避地)を利用した租税回避行為を繰り返していた──。
この事実を明らかにしたのはパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した「パナマ文書」。「モサック・フォンセカ」はタックスヘイブン(英領バージン諸島、ガーンジーなど)での会社設立を代行するビジネスを展開しており、その顧客情報が内部リークもしくは外部ハッキングで流出し南ドイツ新聞を通じて「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)に渡ったのだ。
「複数の法人が1990年代にタックスヘイブンにつくられ、創業者で取締役最高顧問の飯田亮氏と元取締役最高顧問の故・戸田壽一氏の保有するセコム株の一部が移転していた(当時の取引価格で計700億円を超す大量のセコム株)。さらに、それらのセコム株が二人の相続人が関係する別の法人に移転するスキームが作られていた。法人の税制が軽減されているタックスヘイブンでの移転で日本の相続税や贈与税を免れようという意図があったのでしょう」(新聞記者)他にも、ネットでは、この膨大なデータベースからつきとめたとする複数の企業名が上がっている。三菱商事、丸紅、ファーストリテイリング、オリックス、バンダイ、商船三井、大日本印刷、大和証券、ドワンゴ、ドリームインキュベータ、JAL、日本郵船……。
さらには、大手広告代理店の電通も上がっている。たしかに、本サイトでもICIJが公開したnode csv.ファイルを検索したところ、「DENTSU INC」、「Dentsu Asia Fund I」という名前がそれぞれ1箇所出てきた。※その後、これらの企業名は、パナマ文書とは別にICIJが公開した過去の租税回避行為に関与した企業名リスト「オフショアリークス」のファイルであることが判明した(4月11日13時30分 情報を訂正・更新しました)。
1位:三井住友フィナンシャルグループ タックスヘイブン子会社の資本金総額 2兆9788億円 2位:NTT 同7957億円 3位:三菱UFJフィナンシャルグループ 同7554億円 4位:JT 同4877億円 5位:三井住友トラストホールディングス 同7554億円 6位:トヨタ自動車 同3287億円……。
同紙が有価証券報告書を調べた結果、東証に上場している時価総額の上位50社のうち45社が子会社をタックスヘイブンに設立しており、その子会社の数は354、その資本金の総額は8.7兆円にもなるという。日本の大企業のかなりの部分は、タックスヘイブンに巧妙に利用し、「租税回避行為」を行っている現実がある。こうした抜け穴がある限り、富裕層や大企業がますます富み、手数料ビジネスの会計事務所は大儲け。一方で、租税回避された税の穴埋めは中所得層以下の税負担によって補われる。税の不平等が加速するのだ。
「租税回避行為を抑制するために導入したはずのマイナンバーは政府が国民を管理するために使い始めています。さらに、安倍政権では企業の国際競争力を高めるためとして、法人実効税率を引き下げる方針を掲げているが、タックスヘイブンと同じ土俵で税金引下げ競争に参加しているだけのこと。このように日米間でも足並みが乱れており、大企業はその抜け穴を利用して、今日も租税回避行為に邁進するというわけです」(新聞記者)
現実には「世界で一番企業が活躍しやすい国」日本で稼いだカネは、国内を還流せず、タックスヘイブンで運用され、世界に投資される、これでは日本の景気が良くなるはずはないだろう。
(小石川シンイチ)
朴一『僕たちのヒーローはみんな在日だった』(講談社)
カリスマ俳優、松田優作もそのひとりだ。以前、当サイトでも紹介したことがあるが、松田優作の前妻で、作家の松田美智子氏が死の直後に出版した『永遠の挑発 松田優作との21年』(リム出版新社)、そして2008年同書に加筆する形で出版した手記『越境者 松田優作』(新潮社)でその詳細を記述しており、朴氏もそれを引く形で、松田優作の苦悩を記述している。
このような複雑な生い立ちを抱えていた優作だが、家が女郎屋で劣悪な生活環境にあったことはインタビューでも隠すことなく語っていたものの、自分が金優作という名をもつ韓国籍の在日コリアンだということはかたくなに隠し通していた。それは、「松田は朝鮮人だから付き合うな」などと言われた学生時代の経験から、貧乏だった過去はファンから受け入れられても、生い立ちに関しては受け入れてもらえないだろうという確信があったからだと朴氏は指摘している。生い立ちを知られたら周囲の人々は自分のもとから去っていってしまう──。その強迫観念は、役者としての活動のみならず、私生活でも優作の心を縛っていく。
優作は美智子に自分が在日コリアンであることを告げていなかった。自分の恋人に生まれを明かすことができない。それほど差別意識の強い時代だったのだ。美智子が男と同棲していることを知った彼女の親族による身上調査の結果、後に美智子は優作の過去を知ることになるが、だからといって優作との関係を終わらせることもなく、同棲生活は続いていった。
その後、優作はスターへの階段を順調に昇っていく。そんななか、『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)に出演するようになったとき、優作は美智子に「どうしても、帰化したい。協力してくれ」と頼み込んできたという。それまでも帰化申請を行ったことはあったが、母親が風俗関係の仕事をしていたことなどが問題で受け付けてもらったことはなかった。だが、美智子の家の養子となる道を選べば日本国籍を取得できるかもしれない、彼はそう考えたのだった。俳優として活動し続けるためには、在日であるというルーツを捨てることがその時代どうしても必要だった。少なくとも、彼はそう考えていた。
〈僕は今年の七月から日本テレビの『太陽にほえろ!』という人気番組にレギュラーで出演しています。視聴者は子供から大人までと幅広く、家族で楽しめる番組です。僕を応援してくれる人たちも沢山できました。現在は松田優作という通称名を使っているので、番組の関係者にも知られていませんが、もし、僕が在日韓国人であることがわかったら、みなさんが、失望すると思います。特に子供たちは夢を裏切られた気持ちになるでしょう〉(『永遠の挑発 松田優作との21年』より)
都はるみは、48年に在日韓国人の父と日本人の母との間で生まれているが、69年11月に発売された「週刊平凡」(平凡出版)で母の北村松代が娘の出生についてカミングアウト。「朝鮮人と結婚したため、若いときからひどい差別と蔑視を受けてきた。世間を見返すためにどうしても娘を人気歌手に育てねば」と語った。この記事は思った以上の大きな反響を呼び、このまま発言を続けると歌手としての娘のキャリアが絶たれてしまうと判断した母はそれ以降取材をすべて断っている。また、都はるみ本人も、そのことについて口を開くことはなかった。
そうしてこの話題はいったん沈静化したものの、当時はまだまだ差別意識の色濃い時代で、カミングアウトから7年後の76年に都はるみが「北の宿から」でレコード大賞を受賞したとき、〈都はるみの父は日本人ではない。そんな人が賞を取っていいのか〉(産業経済新聞社「週刊サンケイ」76年12月9日号)といったバッシングがメディア上で展開されるなど、都はるみはその歌手人生を通じて差別意識に苦しめられることになる。
「僕は表向き、差別なんてされたことはないよ、と言うことにしてるんですが、実際はかなりありました。特に福岡県の場合、あのころは韓国が『李承晩ライン』というのを設定してそれを越えた日本の漁船をどんどん拿捕していたころですし、筑波炭坑の坑夫たちは気も荒かったですから、かなり激しい差別がありました。拿捕のニュースが新聞に出た日などは、学校に行きたくないと思った程です」(アプロツーワン「アプロ21」97年1月号)
「私にとって、自分が何人ということよりも、役者だということのほうが大事なんです。役者は、自分がどういう存在かを知っていないと成り立たないと思う。だから日本人も韓国人も客観的に見れる自分の立場というのは、役者をやるのにかえっていいことだと思っていますよ」(「毎日新聞」02年3月24日付)
俳優の玉山鉄二も同じく自らの出自にプライドをもっている芸能人だ。彼は06年にソウルで開催されたメガボックス日本映画祭に出席し、父親が韓国人であることを明かした。彼は「機会があれば韓国で活動したい」と話すなど、日本と韓国の映画界の橋渡しの役割を担っていく意向も語っている。
こうした在日の著名人たちの勇気あるカミングアウトもあって、一時はそのまま差別はなくなっていくように見えた。しかし、本稿冒頭でも記したように、その後、時代を逆行するように差別意識は急激な高まりを見せる。朴氏の著書ではこのような揺り戻しについて指摘されていないが、もしもいま、伊原や玉山のようなカミングアウトを行えば、その時点でネトウヨによる罵詈雑言の餌食となり、芸能人としての人気も危ういものとなるだろう。
我々はもう一度、差別がいかに残酷で人を追いつめるかということを学び直すべきではないのだろうか。
(井川健二)
4/14(木)に起きた熊本地震で現在も被災者の方は余震を気にしながら生活をしているかと思います。先ずはお見舞い申し上げます。
東日本大震災以前も以降もですが日本は自然災害の多い国だというのを改めて実感した方が多数いるでしょう。
自然災害から復旧するために色々な支援が必要なのはいうまでもありません。特に政府から復旧の補助金というのは財源が乏しい地方自治体にとってはありがたいでしょうし、そのお金で復旧が早く進むということもあります。その際に「激甚災害指定」をされているかいないかでかなり変わっていきます。
「激甚災害指定」とは何かをご紹介したいと思います。
平成 27 年に発生した梅雨前線(台風第9号、第 11 号及び第 12 号を含む)及び台風第 18 号等による災害については、全国を対象とする激甚災害に指定されているところですが、本政令により、それぞれの指定政令を改正し、公共土木施設の災害復旧事業等に関する特別措置が適用される市町村を追加指定します。
(1)公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助(激甚法第3条及び第4条)
公共土木施設の災害復旧事業等について、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法等の根拠法令等に基づく通常の国庫補助率を嵩上げします。(過去5カ年の実績の平均では公共土木施設等は 69%→83%に嵩上げ)
(2)農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置(激甚法第5条)
農地、農道や水路などの農業用施設及び林道の災害復旧事業等について、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律等に基づく通常の国庫補助率を嵩上げします。(過去5カ年の実績の平均では農地等は 84%→93%に嵩上げ)
(3)小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等(激甚法第 24 条)
公共土木施設や農地等に係る災害復旧事業で、国庫補助の対象とならない小規模な災害復旧に充てるため発行について同意又は許可を得た地方債に係る元利償還金を基準財政需要額に算入します。
東日本大震災についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令の一部を改正する政令
東日本大震災により被害を受けた中小企業者に関する特別の助成として講じている、中小企業信用保険法による災害関係保証の特例措置(激甚法第 12 条)について、被災中小企業事業者の資金需要が引き続き見込まれることから、適用期間を1年間(平成29 年3月 31 日まで)延長しようとするものです。
中小企業信用保険法による災害関係保証の特例(激甚法第 12 条)激甚災害の被害を受けた中小企業者に対し、中小企業信用保険の保険限度額の別枠化等を行います。
SEALDsのデモ隊は、車両を全労連から借り、機材等を反原連から借り、しばき隊等から指示を受け、民青メンバーが数多く参入し、赤旗新聞によって、広報される。
第2に移民などの労働力増強である。移民に対して日本国民の反発が大きいので、政治家も移民政策を推進できないでいる。しかし、移民政策にも段階がある。労働者数の拡大が重要であり、最初の1歩は日系人の労働者で、第2歩は外国人研修制度であり、第3歩としては、企業の期限を設けた労働ビザの発給である。4歩目は日本語や技能資格による在日期間の長期化などを制度として確立することである。
人口統計で、日本が10年後陥る問題は、現時点でわかっているではないか、それに解決案を作り、国民を説得していくのが、政治家の役割である。それを放棄している。そのため、日本は衰退の道を加速度をつけて、転がり下っている。早く根本原因を見極めて、政策対応しないと手遅れになるぞ。
ロシアの人口問題に詳しい、一橋大学経済研究所の雲和広(くも・かずひろ)教授によれば、ロシアの合計特殊出生率上昇の要因のうち、決定打を特定するというのは難しいという。ロシアでは出生数を増やすための政府の奨励策と、経済成長が同時に進んでいることから、出生率の増加が政策の効果なのか、経済環境そのものの改善による影響なのかが判断しづらい。この問題を読み解くには、人口の年齢構造がとりわけ重要だという。これについて雲教授は次のように説明している。
「既に2004年頃から、ロシアにおける出産可能年齢の女性の人口層がぶ厚くなっている、ということがありました。これの意味するところは、ペレストロイカの時期(1985年-1990年)にロシアでは出生率の上昇が見られており、その当時生まれた子どもたちが2004年以降20歳になりました。すなわち、厚い人口層が、人口の再生産年齢に入ったということです。ですから、出生数が増えることは最初から見込まれていました。何ら政策がなくても、経済環境がよくなるわけでなくても、女性の数が増えるので、子どもの数が増えるということは見込まれていました。この後、必ず女性の数は減っていきますし、既に減り始めています。女性の数が減る分、出生数も減るということは既に予測されていることです。ソ連崩壊後に最も出生率が下がったのは2000年・2001年の頃なのですが、今2015年の段階で、1995年に生まれた女性達が20歳になるわけです。この後、どんどん年齢層ごとに見て女性の数は減っていきます。そしてその層が、再生産年齢の層に入っていきます。すなわち一番人口層の薄いところが再生産年齢に入りますので、ここでも必ず出生率が下がることが見込まれているという状況です。この最も人口層の薄いところが再生産年齢の層に入った後にどうなるか?を見ないと、これが長期的に安定的になるのかどうか、単に一時的に人口構造・年齢構造によって生じた現象なのかは判断しづらいのです。」
ロシアの政策のうち有名なのは2007年に開始された、第二子以降出産に際して住宅購入や教育費目的で支給される「母親資金」だ。今年は約80万円が支給される。このような現金支給政策は、もともと予定していた出産のタイミングを早める・あるいは遅らせるという、一般的に言われるところの「タイミング効果」はあるものの、長期的に出生力を上昇させるか否かという点の有効性については議論がある、と雲教授は指摘している。日本とロシアの政策・制度を比較して、ロシアの方が優れている点はどのようなものかというスプートニクの質問に対して、雲教授は次のように答えている。
「日本とロシアで制度的な違いとして挙げられるのは、ロシアでは幼稚園・保育所といった社会的な育児支援施設が充実しているということです。日本の幼稚園ですと(子どもが幼稚園にいるのは)朝の9時から昼の2時、3時までだということをロシア人に言うと、本当に驚かれます。ロシアの場合は朝の8時から夜の6時くらいまでずっと見てくれるので、お母さん方が非常に育児がしやすい、といったことが挙げられます。これは社会主義時代の、社会的育児支援施設の充実が今もまだ続いているということが言えるでしょう。日本がもし学ぶことがあるとすれば、まず第一にそこだという風に私は考えています。現金給付が即座に、出生率の上昇を助けるかどうかは、正直疑問であると考えています。」
「ロシアの幼稚園というのは子どもの受入数が全然違います。圧倒的に大きいというのがひとつ。また、料金が全く日本とは比較になりません。朝の8時から夜の6時まで子どもを“預ける”ということ自体にお金はかからず、給食代として一日に数百円程度が必要になるかもしれませんが、1か月あたり1万円を超えることがない、というのが普通です。待機児童の問題というのはロシアではこれまでほとんど存在しませんでした。大都市圏、モスクワやサンクトペテルブルグで、ソ連崩壊後に幼稚園や保育所の閉鎖が進んでしまった分、たった今増えてきている出生児が入れなくて、待たされているということがありますが、日本ほど大きい問題ではありません。金銭的な負担という意味では日本よりもはるかに小さく、日本との所得水準の差を考えても、安価で済むということが事実だと思います。」
この当時のドイツは、イギリスを産業革新の面で追い抜きつつあり、その結果としてグローバル市場での競争に勝ち、資本を蓄積し、それをさらにイノベーションにつぎ込むことによって、イギリスが優位を保っていた分野を次々と奪っていた。当時はまだ重要であった鉄鋼産業においても、ドイツの優位は増すばかりであった。
また、当時の最先端産業であった化学分野におけるドイツの優位は、すでに絶対的なものだった。
(p90)
世界の主要準備通貨としてのポンドの一極支配などによる構造的な優位性の両方が、ドイツ経済の活性化による急速な資本形成によって覆されようとしていた。ハンブルグのヴァールブルク銀行はロンドンのロスチャイルド銀行を抜き去ろうとしていたし、イギリスの最大の銀行でさえもドイツ銀行の前では影が薄くなっていた。ドイツ銀行は1914年に世界最大の銀行となり、金融業界で最も競争力のある銀行になっていた。
(p91)
1890年、誰もが「ドイツの未来は明るく、イギリスの未来は暗い」と考えていました。ところが実際は…。ドイツは、第1次大戦、第2次大戦でイギリスを中心とする勢力に敗北。2次大戦後は、西ドイツと東ドイツに分断されてしまいます。1890年の希望は見事に裏切られ、ドイツの20世紀は、「悲惨」でした。なぜそうなったのでしょうか? 原因は、イギリスにありました。
最終的な結果を決めるのは、それらよりもさらに高い大戦略レベルである。
ドイツ陸軍が1914年から1918年にかけて獲得した、数多くの戦術・作戦レベルの勝利でさえも、より高い戦略レベルを打ち破り、そのトップの大戦略レベルまで到達することはなかった。したがって、ドイツ陸軍の激しい戦いは何も達成しなかったのであり、それはまるで彼らが最高ではなく、最低の軍隊であることを証明してしまったのと同じなのだ。
(p98)
賢いイギリス人であれば、「北方4島のことは、棚上げにしましょう。ところで、ロシアは『制裁』『原油安』『ルーブル安』で経済が大変みたいですね。制裁解除はアメリカとの関係があるので難しいですが、石油・ガス輸入を増やすことはできますよ。その他、お手伝いできることがあれば言ってください。出来る限りサポートします」などと言うことでしょう。