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注目される浮遊型風力発電

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従来型の風力発電に比べメリットはるかに多い浮遊型風力発電。
 
浮遊するメリット
2010年にマサチューセッツ工科大(MIT)で生まれたAltaeros Energiesは、世界で初めての商業的Buoyant Airborne Turbine (浮遊型風力タービン:BAT)の開発を目指している。BATは従来の風力発電で使われる支柱に固定された風車ではなく、ヘリウムガスの入ったバルーンによって空高く浮かぶ風車。これによって多くの問題を解決することができるという。
まず一つ目が、その設置コスト。しっかりと地面に固定しなければいけない従来の支柱は大規模な工事が必要だった。しかしBATの設置は非常に簡単。クレーンもセメントも必要なく、24時間以内に設置し稼働することができる。
二つ目は、発電効率。固定型の風車では、風速や風向きのバラつきにより安定した電力が供給できなかった。しかしBATは違う。風を求めて向きや高さをコントロールでき、場所の移動も自由自在だ。
三つ目は、環境負荷。地上100mほどの高さしかない風車から発せられる低周波振動は、人体に深刻な影響を与え始めている。地上600mの高さに浮かぶBATでは、その心配はない。また、鳥類が巻き込まれる事故も軽減された。ブレードとバルーンの間には大きな空間があり、鳥類は難を逃れることができる。
四つ目は、悪天候時のトラブルの回避。大型の台風や落雷などで破損してしまう固定型風車と違い、BATは事前に回避できる能力をもつ。風速45mの強風や落雷にも耐える。深刻な嵐が近づいてくると、自動的に浮遊をやめ地上のベースへ固定される。そして嵐が過ぎ去る間も、地上でその強風を利用し発電し続けることができる。
また、万が一バルーンが破損した場合も修復は簡単に可能だ。地上のベースと結ぶ三本のロープが破損した場合は、自動的にヘリウムガスをベントし自力で着陸。稼働を始めたら、ほとんど手間がかからない。
「上空600m」そのポテンシャル
従来の固定型風車の高さは、一般的なもので100120m。最も高いデンマークのVESTAS社製のものでも240mほど。しかしBATは地上600mの高さまで浮遊が可能だ。しかもその高さで吹き続ける風の強さはは固定型風車が受ける風力の3倍以上。
今まで手つかずだった豊富なエネルギー資源を、BATは利用することができる。上空600mはまさにエネルギー界のブルーオーシャン。この無尽蔵ともいえる風を効果的に利用することができれば、様々な活用法が見いだせるだろう。
例えば、僻地での発電。固定型風車では設置するには大規模な工事が必要だ。太陽光パネルでも設置するには広い場所が必要。だが、このBATなら、まるで凧揚げをする感覚で発電ができる。季節や一日の中で風向きが大きく変わる諸島部や極地などでも、効率的に発電が可能になる。
また、災害時にも効力を発揮するだろう。設置し稼働するまでに一日も掛からないので、迅速なインフラ復旧が可能だ。バルーンには通信アンテナやテレビ・ラジオ放送アンテナなど付属品も搭載できるので、様々な状況によって有効的に活用できる。
唯一の難点は、ヘリウムの価格高騰。この希少ガスは20年後には現在の二倍の価格になると予測され、また、将来的な枯渇も心配されている。この問題を乗り越えるため、現在水素によるバルーンの開発が進んでいる。
注目される浮遊型風力発電
そんなBATを手掛けるAltaeros Energiesに強力な支援者が現れた。インドが誇る世界的財閥タタ・グループの元会長であるラタン・タタ氏だ。インドの地方部におけるインフラ整備の未発達を解決する手段の一つとしてこのBATに目を付けたラタン氏は、その莫大な資産の一部をAltaerosに投資した。
創設からわずか数年で事業を急激に拡大しているAltaerosでは、現在チームスタッフを大募集している。BATに関連しそうな様々な技術を有するエンジニア、そしてMBAホルダーがその対象だ。
その対象者には”a background in remote or off-grid power”が求められるという。
BAT同様に固定されておらず、何事にも縛られていないオフグリッドな性格が必要とされるようだ。
 

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