【5月13日 AFP】(一部更新)韓国の情報機関・国家情報院(National Intelligence ServiceNIS)は13日、北朝鮮の玄永哲(ヒョン・ヨンチョル、Hyon Yong-Chol)人民武力(国防)部長が反逆罪に問われ、4月30日ごろに数百人の高官が見守る中、対空砲で処刑されたと韓国国会の委員会で明らかにした。韓国・聯合(Yonhap)ニュースがこの委員会に出席した与党議員の話として伝えた。
 人民武力部長に就任して1年に満たない玄永哲氏は、軍の公式な催しで居眠りをしたり、数回にわたって金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記に口答えをしたりしたと聯合ニュースは伝えている。これまでのさまざまな未確認情報によると、北朝鮮が処刑に対空砲を使うのは、みせしめにする意図で高官を処刑する場合だという。
 北朝鮮の人民武力部長は、主に後方支援と国際交流を担当する。政策立案は強い権限を持つ国防委員会(National Defence Commission)と朝鮮労働党の中央軍事委員会(Central Military Commission)が行う。(c)AFP
 
 
「飛び込め!」金正恩氏に“高齢幹部いじめ疑惑” 元老級にダイブ強要か
 【劇場型半島】
 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が高齢の幹部をいじめているとの疑惑が浮上している。肝いりで造らせたプールやスキー場で、飛び込みやスキーを強要し、元老幹部らが負傷するケースが相次いでいるとの見方があるためだ。子供じみた発想から遊戯施設の建設指示を乱発する金第1書記だが、父の代からの側近らの忠誠心を損ないかねない事態を招いているという。(桜井紀雄)
■3元老に「俺の言うとおりにする」
 金第1書記の側近が朝鮮労働党や朝鮮人民軍の主要行事にたびたび姿を見せないことがあり、さまざまな憶測を呼んできた。だが、労働党元老級幹部と交流のある中朝関係者の証言で、その「原因」の一端が浮かび上がった。
 関係者によると、昨年10月、平壌の「紋繍(ムンス)プール」の開園式で、最初の“惨事”が起きたという。金第1書記が子供時代に留学したスイスにある有名ウオーターパークを模して造らせた、波の出るプールやウオータースライダーを備えた大規模プールでのことだ。
 金第1書記は李雪主(リ・ソルジュ)夫人や側近らを引き連れ、開園式に訪れたが、金己男(ギナム)党書記(85)と呉克烈(オ・グンリョル)国防副委員長(83)、崔竜海(チェ・リョンヘ)党政治局常務委員(64)の元老級の3人に対し、突然、高さ約10メートルのダイビング台から「飛び込んでみろ」と命じたという。
 3人はぶるぶると後ずさったが、金第1書記は周囲に「ご老体でも、俺がしろという通りにやるんだ」と豪語し、自らの権威を見せつけようとしたとされる。
 結局、このダイブで呉氏が大腿(だいたい)部を骨折し、しばらく動けなくなったという。呉氏は金正日(ジョンイル)総書記時代からの側近で、軍内部に絶大な影響力を保持してきたとされる。だが、このときのけがが元で、年末の「金正恩最高司令官推戴(すいたい)2周年」を記念する集会にも参席できなかったという。